オンラインショッピングの代名詞となっているアマゾンが、コンビニを出店する。そんな驚きとともに登場したのが、シアトルでベータテスト中の「Amazon Go」だ。しかも、チェックアウトレス、すなわち、レジがない店舗を実現したのだ。このAmazon Goがもたらす、3つの変化を示してみたい。
ショッピング体験を変える
アマゾンは、Amazon Goについて紹介するビデオを公開している。このビデオでは、我々がAmazon Goでどんな体験をするのかを知ることができる。
単純に紹介すると、スマートフォンにバーコードを表示させてゲートで読み込ませ、好みの商品を選び、選び終わったら店を出る。これだけだ。途中で商品を棚に戻せば、その分はきちんとキャンセルされる。
背後では、店内で誰がどんな商品を手に取ったり、カバンに入れたかを認識し、店を出るときに商品の金額をAmazonアカウントで決済する。こちらも非常にシンプルな説明で片付くことをしているに過ぎない。
しかし、このショッピング体験は、非常に自然なものだ。顧客は、ショッピング中にスマホを商品にかざしてバーコードを読み取ったり、専用の買い物カゴを用いて商品のRFIDを読み取らせたり、商品の重さをレジに認識させる、といった面倒な、あるいは慣れない行動を取らなくて良いのだ。
新しいことといえば、「万引きっぽい」というばつの悪さに慣れること程度だろう。
小売店を変える
米国で24時間営業の店を見つけることは、いくら治安が良い都市でも難しい。米国で暮らしていると、日本の都市部では終夜営業が当たり前のコンビニには、本当に感動するのだ。犯罪のリスクはもちろんだが、夜通し営業するだけのコストを、売上で賄えないことが原因だろう。
全米で床面積あたりの売上トップの小売店は、長年アップルがその地位を確保してきた。そのアップルも、Apple PayとApple Storeアプリを用いたセルフチェックアウトを採用している。未来のショッピングの風景のようにも映るが、そもそもApple Storeは既にレジを廃しており、店員が各自のiPod touchで決済をしてくれる仕組みを採用している。
Apple Storeでのモバイルセルフチェックアウトは、店員がやっていた商品のバーコードスキャンと決済部分が、ユーザーのアプリにも機能として備わっただけだ。裏を返せば、訪れる全ての顧客に対応するだけのスタッフがいないことを表しており、未来のショッピング体験というのは厳しい。
Amazon Goは、商品の陳列やサポートの要因は必要かもしれないが、それ以外のオペレーションをすべて、テクノロジーによって解決している。しかも、できるだけ自然な(しかもおしゃれさがある)小売店の店舗デザインを踏襲しており、作る方も使う方にも、ストレスが少ないだろう。