ユーザー体験と信頼性のバランス

フェイスブックがなぜ、収益性に直結するアド・ロードを減らすと言っているのか。もしみなさんがフェイスブックのウェブやアプリに日常的にアクセスしていれば、さほど難しい推測ではないだろう。つまり、タイムラインが広告であふれて、そもそもの滞在時間を減らさないようにバランスを取ろうとしているのだ。

例えばテレビを見ていてCMばかりだと、飽き飽きとしてしまい、チャンネルを変えるきっかけを与えてしまう。フェイスブックでも同じで、友達の動向を見たいのに、広告ばかりが流れてくると、フェイスブックにアクセスする目的が何だか分からなくなってしまう。 そのためフェイスブックは、より広告出現頻度を減らす代わりに、より人々の注目を集めやすいコンテンツ、すなわち動画を主体とした広告ビジネスへの移行を進めていくことを考えている。

2016年4月に行われた開発者会議F8では、ライブ動画に関する取り組みを強化する発表を行っており、また機械学習によってニュースフィードに流れてくるコンテンツの理解を行いながら、より適切なコンテンツと広告のブレンドを目指していくことになる。

マーク・ザッカーバーグCEOはライブ動画を強化すると開発者会議F8でアナウンス

より文化的な側面を追求してみてはどうか?

フェイスブックの今後の成長余地は「動画広告である」という未来を予測している。

企業から広告としてアップロードされる広告や、企業や個人が配信するライブ動画をニュースフィード内でよりアピールすることも考えられる。動画と広告にまつわる取り組みにはまだまだ様々な可能性があることは、筆者も認めている。

ただ、例えば広告ビジネスを追求するのであれば、もう少し違った考え方をしても良いのではないか、という印象も持っている。

例えば、インスタグラムを考えてみてほしい。

インスタグラムにも、写真やビデオの広告が流れてくる。しかしフェイスブックに流れてくるそれとは違い、つい見入ってしまう美しい写真やビデオが多く、確かに自分のタイムラインに紛れてくる要素ではあるが、さほど嫌な感じはしない。

雑誌に入ってくる写真が美しい広告を楽しんでみている感覚に近いかもしれない。これは、今後フェイスブックが目指していくべき広告の姿を示唆していると考えている。生活を豊かにするような広告を作り出せれば、再びフェイスブック広告の収益を成長させるペースに持ち込めるだろう。