矢継ぎ早に新メニューを発表する強気の日本マクドナルドが、次に仕掛ける施策は人気メニューの復活だ。日本1号店開業から45年周年のキャンペーンとして、過去の人気メニュー4商品を再販する今回の企画。先陣を切るのは2010年に期間限定で販売した「テキサスバーガー」だ。業績に復調の兆しが見えるマックは、2016年12月期を黒字決算で終わらせる構え。過去のヒットメニューも動員しての総力戦が続く。

Big Americaの人気者が復活

テキサスバーガーはマックが2010年に展開した「Big America」キャンペーンで販売した商品。このキャンペーンではテキサス、ニューヨーク、カリフォルニア、ハワイの4都市をテーマにハンバーガーを販売したが、とりわけ人気が高かったのがテキサスバーガーだ。

「古き良きアメリカのイメージであるテキサスの荒野が目に浮かんでくるような、ワイルドな力強さと素朴な味わいを追求した」商品とマックが自信を示すテキサスバーガー。価格は単品490円、セット790円。販売期間は11月上旬までの予定

今回のキャンペーンで復活させる4商品は、「マクドナルドらしい味」と「マクドナルドだけのおいしさ」を持つメニューになるという。第2弾は「ベーコンポテトパイ」で、第3弾以降は非公開だ。第4弾が2016年11月22日に発売予定となっているところから考えると、このキャンペーンは12月中旬頃まで続く可能性がある。

黒字決算達成に向け勢いをつけたいマック

業績が低迷していたマックだが、今年に入ってからは売上・客数ともに前年同期比を上回る水準をキープしている。2016年12月期の中間決算は、連結売上高が前年同期比23%増の1,048.93億円。損益面では前年同期に182.91億円の営業赤字を計上していたが、今期は4,700万円の黒字とした。中間決算で黒字化を達成したのは2014年以来2年ぶりのこと。当初は18億円の営業赤字を予想していたので、前期の業績は上振れで着地したことになる。

人気商品復活キャンペーンは12月中まで続きそうだ

マック復調にはいくつかの要因がありそうだが、「バーガーラブ」という新たなコンセプトのもと、次々と投入している新商品が売上を押し上げているのは間違いないだろう。顧客の来店動機として、新メニューを大々的に押し出すキャンペーンの効果は高いと見られる。人気商品復活キャンペーンの嚆矢となるテキサスバーガーは、5年前のヒットメニューなので覚えている顧客も多そう。“マック離れ”の状態にあるかつての顧客が、そのワイルドな味を懐かしんで再びマックを訪れる可能性もあるだろう。

マックのビジネスモデルは、下期業績が通期業績に与える影響が大きい。中間決算で当初見通しを上回る業績を収めた同社が、通期業績見通しを上方修正せず、33億円の営業黒字予想を据え置いた背景には、下期の動向を慎重に見極めたいという考えがあったと想像できる。マックにとって下期も残すところ3カ月。「ポケモンGO」とのコラボレーション、ランチメニューの新たな価格設定、人気商品復活キャンペーンなど、ここへきてマックが次々と繰り出す施策からは、黒字決算達成に向けた同社の想いが伝わってくるようだ。