同じデザイン、サイズでGPS搭載を実現しても、Apple Watchの使用体験を損なうような実装だったら意味がない。

GPS機能はユーザーがオン/オフを切り替える必要はない。ワークアウト・アプリでランニングやサイクリング、オープンウォータースイミングなど、位置情報を必要とするワークアウトを開始すると自動的にGPSがオンになる。シンプルだ。スイミングのワークアウトを選ぶと、水泳中の誤タップを防ぐ防水ロックがかかる。ロックされたままだと操作できないので、水泳が終わった後にデジタルクラウンを2回転させてロックを解除すると、ブーブーブーという音が鳴ってスピーカーから排水が行われる。

GPSやスイミング対応など機能が増えた分、使いこなすためにユーザーがやらないといけないこと(GPSオン、排水など)が増えている……はずだが、オリジナルのApple Watchから変わっていない。ワークアウトを「開始」して終わったら「終了」させるだけである。あとは全てApple Watchがやってくれる。

「アクティビティ」が日々のアクティビティを記録する活動量アプリであるのに対して、「ワークアウト」はランニングやサイクリングなどユーザーの意識的な運動を記録するアプリだ

Apple Watch Series 2ではワークアウト・アプリの「プールスイミング」、特に入力しなくてもストロークの動きから「クロール(フリースタイル)」で泳いだと判断してくれた。複数のスタイルで泳いだ場合は「混合」と表示される

Apple Watchの運動計測には驚かされることが多い。たとえば、水泳でキレイに泳げる得意なスタイルだと同じ距離でもカロリー消費が少なく、同じスタイルでも子供を背中に乗っけてばしゃばしゃと泳いだ時はカロリー消費が増えている。単純に泳いだ距離からではなく、しっかりと運動をチェックしている。スポーツプロファイルはシンプルで、たとえばウエイトトレーニングという項目はない。足りないものはサードパーティのアプリがあるし、ワークアウト・アプリでも「その他」のフリー設定で計測できる。実際、私は「その他」で自重トレーニングやウエイトトレーニングを記録しているが、Polarのデバイスで測るのとほぼ一致する。これだけ測れるならウエイトやヨガなど定番エクササイズの項目を設けてくれると便利なのに……と思うが、正確な計測にこだわるからこそ簡単にはスポーツプロファイルは増やさないということなのかもしれない。

自転車通勤をワークアウトで計測。ペースが遅くなったところは黄色、止まったところは赤で表示される

ワークアウトの「オープンウォータースイミング」では手が水上に出た時のGPS情報を結んで泳いだルートが記録される。手が水中に入りっぱなしの平泳ぎだと残念ながらルートは記録されない

最大1,000nitsと倍以上に明るい輝度になったディスプレイは、室内で使っている分にはあまり違いを感じない。でも、太陽の下に出たら快晴の屋外プールでもワークアウト画面を読み取れる。GPS、防水機能を付けたら、これまで以上に太陽の下で使われることが増える。それにしっかりと対応している。

Series 2でも直射日光下ではディスプレイが見えにくくなるものの、オリジナルモデルに比べたらずっと見やすく、晴れた日に屋外プールで泳ぎながらデータを確認できる