米Appleは日本時間の9月8日未明にスペシャルイベントを開催し、iPhone 7やApple Watch Series 2などの新製品を発表した。本稿ではイベントの流れを追いながら、その狙いや背景などを推測してみたい。
いきなりのサプライズは「マリオ」
イベントの冒頭は、ティム・クックCEOがクルマで会場に送ってもらいながら歌ったり喋ったりの小芝居のVTRで始まった。途中で音楽プロデューサーのファレル・ウィリアムス氏を乗せたりしたこのVTR、Apple TVで独自配信される「カープール・カラオケ」という番組の宣伝だったようだ。
VTRに続いて登場したティム・クックCEOは、Apple MusicやApp Storeの近況を、いつも通り数字を並べながら紹介していく。そしてiOSが世界最大のゲーミングプラットフォームであると紹介したところで、いきなりのサプライズ。「彼がApp Storeにやってきた」というクックCEOの言葉とともに、画面にはマリオの姿が。
そしてクックCEOの紹介で、マリオの生みの親である、任天堂の宮本茂代表取締役クリエイティブフェローが登壇した。
完全新作「スーパーマリオ・ラン」は「片手で遊べる、何かしながら遊べる」というコンセプトで、自動的に右に進むマリオをタップでジャンプなどのアクションで操作しつつ、コインを取りつつゴールまで目指して走るゲーム。配信は12月ごろの予定。流行りのフリーミアム方式ではなく、有償アプリとして配信されるとのこと(ただし、App Storeの表示では無償+App内課金制とある)。
マリオ自体は世界一有名なキャラクターと言われつつ、ずっと任天堂のプラットフォームでのみ配信され続けてきた、いわば任天堂専属のキャラクターだったが(ただし非常に古い時期、パソコン用ソフトで外部にマリオがライセンスされたことはある)、ついに他社プラットフォームへと進出した。そのプラットフォームとしてiOSが選択された意義も大きい。
続いて教育市場関連のニュースとして、全米のIT化されていない学校への支援プロジェクト「ConnectED」に参加し、114校・生徒5万人・教師4,500人にMacとiPadを配布すると宣言。さらに子供のプログラミング学習のためのプラットフォームとして「Swift Playground」が世界中で利用されていることを紹介し、iWorkのアップデートとして、複数人での同時編集が可能なリアルタイムコラボレーション機能のデモンストレーションを行った。