すでにいくつかの実績があがっている。今年春にアジア市場向けに発売したエアコン「SKYシリーズ」は、上部フラップ「SKY stream desigin」を活用して、輻射冷却方式を業界で初めて採用。冷たい風が直接身体にあたらないようにすることで、冷えすぎを防ぎ、快適な空間を提供することができるという。
また、ダストセンサーにより、空気中の微粒子をモニターし、濃度が高くなると、ナノイーを放出して、空気を清浄することかできるという。これは、日本に先駆けてアジアで発売した製品だという。また、同じくアジア向けには、速く冷やせる「速冷」のニーズを捉えた「速冷暖エアコン」も発売。シェアナンバーワンを獲得したという。
一方、外資系傘下に入った家電メーカーも、海外でのビジネス拡大に意欲をみせる。
東芝ライフスタイルの石渡敏郎社長は、「マイディアグループのなかで事業を行うことで、米国や欧州、インドなど、これまで東芝ブランドとして参入できていなかった市場にも参入できるようになる。どの市場から展開していくかは現時点では未定だが、名実ともに、東芝の白物家電がグローバルに展開していくチャンスを掴んだといえる」と語る。
世界第2位の白物家電メーカーであり、全世界200カ国以上で展開しているマイディアグループのリソースを活用して、世界市場に攻めていけるというわけだ。
外資メーカーの存在感が高まる
一方で、国内家電メーカーにとっての「防」とは、外資系家電メーカーの日本への進出への対応だ。
これまでは日本の白物家電市場は日本のメーカーの独壇場であった。だが、この数年、欧州や米国、アジア、中国などの家電メーカーが日本に進出し、着実に存在感を増している。日本の家電メーカーにとっても、これまでとは競合環境が異なっていることを理解する必要がある。
2016年8月26日発売の「ルンバ960」 |
その最たる領域のひとつが掃除機市場だ。
もともと掃除機市場は、サイクロン方式や紙パック方式のキャニスタータイプの掃除機が主流であったが、近年、スティック型掃除機が台頭。すでに市場の25%を獲得している。また、部屋のなかを自動的に掃除するロボット掃除機や、ふとんを掃除することができるハンディ型掃除機も需要を拡大。これらの製品もあわせると、国内掃除機市場全体の20%以上を占めている。
そして、掃除機市場は、2台目需要を創出し、飽和感がある日本の家電市場において、この数年にわたって、市場全体が拡大し続けている数少ない成長分野でもある。
これらの市場を開拓してきたのは、まさに外資系家電メーカーだ。
吸引力の強さが高い評価を得ているダイソンは、スティック型掃除機でも人気を博しているほか、ロボット掃除機市場では、iRobotのルンバが市場を席捲。
こうした動きを日本の家電メーカーが後を追っていくという構図が、ここ数年続いている。