ベッドタイムは、よりシンプルな就寝・起床の体験を実現してくれる。iPhoneを目覚ましにして利用する多くの人にとって、より便利で快適になり、気にいる機能の1つになるはずだ。特に、新たに収録されている目覚ましのサウンドは、心地よい目覚めを演出してくれるようになるだろう。

前述の通り筆者は寝起きがあまり良くないため、複数のアラームを活用して確実に起きるよう、「アラームの波状攻撃」を行ってきた。これをベッドタイムに1本化したが、今の所、寝坊せずに起きることができている。寝ること、寝る時間、起きる時間により明確な意識が向いていることがそうさせているのか、何かアラーム音に秘密があるのか。

ヘルスケアの研究施設を作ってApple Watchのアクティビティ機能を開発したAppleのことだ。ベッドタイム機能の開発に際して、何らかの研究を行っている可能性は高いと見ているが、機会があったらインタビューしてみたいと思っている。

さて、最後に、計測した睡眠のデータについてだ。

前述のように、ベッドタイムでは、MisfitやUPのように、眠りの深さや細かい目覚め(トイレに行ったり)といった時刻まで克明に記録してくれる訳ではない。あくまで、睡眠計測に興味を持つ入り口としてのデータが取れるのだ。

iOS 10の「ヘルスケア」アプリに眠りのデータは記録される

このデータが記録されるのはiOS 10の「ヘルスケア」アプリ。睡眠の項目を開くと、より詳細に睡眠のログが取れるアプリが紹介されていることからも、ベッドタイムが入り口であることわかる。そして、その設計は、より多くの人が自分の睡眠時間を気にするようになる効果を生むことになるだろう。ベッドタイムは、睡眠計測の機能を強調せず、普段から利用する、ビジュアルを強化して使いやすくなった目覚まし時計として、自然に利用できるようにデザインされているからだ。その背後では、就寝時間、起床時間、その間の睡眠時間が記録され、日々、データが蓄積していくことになる。

ベッドタイム内では、その週の睡眠記録をグラフでも見ることができるが、それより遡って見たい場合は、ヘルスケアアプリを利用する。すると、1週間だけでなく、月間、年間の睡眠時間の傾向を見ることができるようになる。

何曜日に適用するか選択こともできるが、データの記録は時差が生ずる模様

筆者は1カ月から2カ月に1度、東京出張がある。つまり時差がある場所へ旅行するのだ。時計自体は自動的に現地時間に調整され、ベッドタイムもきちんと東京時間で起こしてくれるようになる。ただデータの記録は世界標準時を基準にしているようで、東京滞在中の睡眠時間が綺麗に17時間(東京とサンフランシスコの時差)ズレていた。

もしも睡眠時間を集計するアプリが登場すれば、ユーザーの許可を取った上で、位置情報と睡眠時間の関係性を調査することもできるだろう。ぐっすり眠れる観光地はどこかが、わかるようになる日も近いのではないだろうか。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura