cerevoは、携帯電話用のSIMカードを最大4枚まで挿し替えなしに切り替えられる「SIM CHANGER Δ」(シム チェンジャー・デルタ)を発表した。本日よりクラウドファンディングのmakuakeにて資金調達を開始する。資金が調達できた場合、2017年3月までに発売される。本稿では、同日開催された発表会の模様をレポートする。

SIM CHANGER Δ概要

SIM CHANGER Δは、一言でいえば「Bluetooth接続のSIM切り替え機」だ。本体には最大4枚までのSIM(microSIMx2枚、nanoSIMx2枚)を装着可能で、スマートフォンなどには付属する「ブリッジカード」を挿入する。スマートフォンとSIM CHANGER ΔをBluetoothで接続後、スマートフォン側のアプリでSIMを変更すると、ブリッジカードが指定したSIMとして認識される仕組みだ。

指定中のSIMに合わせてLEDが点灯する。容量3,000mAhのバッテリーを内蔵しており、通常使用の場合、約1カ月は無充電で利用できる

「Δ」(デルタ=三角)の名にふさわしく、三角柱を斜めに切ってズラしたような形状。SIMが4枚刺さるのはΔがギリシア文字の第4字母であることにもかけているかも?

1枚のブリッジカードを最大4枚のSIMとして使うだけでなく、複数のブリッジカードを挿した端末間で1枚のSIMを共有する(同時に利用できるのは1台のみ)といった使い方もできる

通常、Android端末などは、SIMの挿し替えであれば再起動が必要だが、SIM CHANGER ΔではSIMの内容がリフレッシュされたという信号を本体に送って再読み込みすることで、再起動なしにSIMの内容を切り替えられる。ちなみにブリッジカードはOS側の制御の問題から、iOS用とAndroid用がそれぞれ用意される。

ブリッジカードを見せるNTTドコモ R&Dイノベーション本部 移動機関開発部長の徳弘徳人部長。ブリッジカードは、現時点では未定ながらも、1枚3,000円程度になると見込まれているとのこと

ドコモの技術を活用

SIM CHANGER ΔはNTTドコモが2014年に発表した「ポータブルSIM」技術をベースにしている。cerevoの岩佐琢磨社長は「ドコモのように国内向けの市場だけを考えていると商売にならない技術でも、海外での販売を最初から視野に入れているcerevoなら製品化しやすい」とし、「グローバルニッチ」を旗頭にする同社とドコモの絶妙なコラボレーションであったことを紹介。欧米や中国など、複数のSIMを切り替えて利用することが日常化している国での販売にも自信を見せた。

ちなみに、ポータブルSIMはドコモの技術だが、利用できるのはドコモのSIMだけに限ったわけではない。auやソフトバンク、また海外のキャリアのSIMであっても切り替えできる。

これからは個人でもSIMを切り替えて使う時代に

海外ではプリペイド型のSIMが広く使われており、SIMを挿し替えて使うことが普通に行われている。デュアルSIMスロットの端末があるのもこうした需要からだ。これに対し、現時点では日本ではSIMを頻繁に挿し替えて使うのは、一部のマニアや開発者、あるいは海外での利用が非常に多いビジネスユーザーといった、ごく限られた人だけだろう。

しかし、MVNOの普及で月額の利用料金が1,000円に満たない格安SIMが多数登場し、SIMフリー端末の台頭、さらに特定のアプリケーションやゲームのみ利用し放題(この手法には批判もあるが)といったSIMも登場している。これからは日本でも、普通のユーザーであっても節約やセキュリティのために、複数のSIMを切り替えて使うことが一般化していくだろう。

こうした一般ユーザーがSIM挿し替えの面倒さを感じることなく使うためには、SIM CHANGER ΔのようにポータブルSIMの技術を使った製品が最適だ。個人的にはクラウドソーシングで200台限定1万800円(税込、以下同)、正規販売時に1万5,000円前後というSIM CHANGER Δの価格は適切だと思うが、SIMの枚数を2枚に減らして価格を大きく低減した製品にも需要がありそうだ。