歩みを止めず進化し続けるY!mobile

値段や通信速度ばかりに注目が行きがちな通信キャリアだが、Y!mobileは価格面などでプライスリーダー的存在でありながらも、決してそこを重視しているわけではないという。

「他社と競争して何かをするのが役割ではないんじゃないかと思っているんです。我々は前に進み続けないと死んでしまう、サメやマグロのような生き物で、止まっちゃうと必ず大手に潰されるんです。だから常にちょっとだけ前に出ていないといけない」

ウィルコムで数々の斬新なサービスを手がけてきた寺尾氏だけに、その言葉には説得力がある。

寺尾氏は、Y!mobileの進む未来について「端末の性能も十分高くなってコモディティ化が進んでいますし、いずれ通信もコモディティ化します。もしかするとY!mobileというブランドでは超高速を捨てて、使いやすいエリアでほどほどの速度と使いやすい価格、という選択肢を選ぶかもしれません。最終的にはお客様が使いたいところできっちり使えるようにしよう、という考えです。その上で、便利さや楽しさを伝える仕掛けを隅々までお届けすることがゴールだと考えています」と語り、あくまで理念を貫く姿勢を崩さない。

にこやかな表情ながらも、寺尾氏からは強い意志が垣間見えた

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三大キャリアがなにかと横並びの価格、似たようなサービスで比較する意義が見えにくくなっているなか、ソフトバンク傘下とはいえ独立性の高いユニークなサービスを提供し続けるY!mobileは、MNOとMVNOどちらにも影響力を持った特異な存在だ。

フルサービスだが高価なメガキャリア、低価格だがユーザーに依存する点も多いMVNOのどちらとも異なる第三の選択肢として、そしてユニークなサービスを提供し続けるチャレンジャーとして、今後も注目していきたい。