イグニッションデザインラボ合同会社の代表 高木映児氏

IDLは、米サンフランシスコに本社を置く2015年5月設立のスタートアップ企業。Qualcomm、Broadcomなどのベンダから30名強の技術者が集結して生まれたという。

2015年7月設立の日本法人、イグニッションデザインラボ合同会社の代表を務めるのは、もともと東芝やQualcommで8世代に及ぶWANチップ開発に携わってきた高木映児氏だ。

高木氏はPortal開発の背景として、理論上の通信速度が17年間で3,500倍へと高速化したにも関わらず、実際には「つながらない」「途切れる」など不安定な現状の通信環境ついて問題点を紹介した。

Wi-Fi市場の成功と課題

DFS帯特有の問題点(その1)

DFS帯特有の問題点(その2)

IDLとは

ユニークな機能

販売計画、戦略

高木氏は「Wi-Fiの普及によって、システム内の干渉が非常におおきくなっていること」、「5GHz帯域は気象レーダーなどが優先のため有効活用されていない」ことが通信環境の快適さを阻害している原因だと指摘。

ちょっと説明がややこしくなるが、電波法では、5GHz帯のW53(5.250-5.350GHz)、W56(5.470-5.725GHz)の使用前に、使用するチャネルを1分間モニタリングし、その場所にレーダーがいないか確かめなければいけない。また、チャネル使用中もレーダーを検知した場合、即座にそのチャネルから移動するDFS(Dynamic Frequency Selection)機能が必要だと規定されている。

しかし、仮にレーダーを検知して他チャネルへ移動する場合、移動先がW53/W56だったなら、再び利用可能となるまでユーザーは最低でも1分は待たされるわけだ(使用前に1分間レーダーがいるかどうかの検知が必要となるため)。このため一般的な無線ルータではデフォルトでDFS帯の利用をオフにするか、手動でDFS帯の利用を設定しても、レーダー検知後の移動先を、事前検知の必要がないDFS帯以外の帯域へ飛ばすようになっているという。