米Googleが「Nexusではない」同社謹製のスマートフォンを開発中で、今年2016年内にも製品を投入見込みだとの噂が話題になっている。従来との違いは「ソフトウェアからハードウェアまで全体を包含してカバーする」点に特徴があり、同じ戦略を採るAppleのiPhoneに直接競合する可能性が指摘されている。一方で、従来のNexusプログラムも継続しており、今年後半には2種類の台湾HTC製Nexusスマートフォンが市場に投入されることになりそうだ。

同件は、英Telegraphが複数の関係者の話として報じている。現在GoogleはAndroidやChromeのようなソフトウェア開発、あるいは特定のメーカーとのタイアップでオリジナデバイスを開発する「Nexus」プログラムのいずれかに特化しており、傘下にMotorola Mobilityを抱えていた時代を除けば自らが携帯電話の開発や販売に直接乗り出したことはない。

現行のNexus

一方で、同社は現行のAndroid 6.X Marshmallow以降、それまでメーカーごとにUIのカスタマイズやソフトウェアアップデートを任せていたスタンスを見直し、より厳密に管理する形でユーザー体験を改善させる試みを進めつつある。ライバルに「フラグメンテーション」と揶揄されていた体制を改善する方向性を見せている。

実際には、どこかのメーカーと組むのか、あるいは独自開発かなど詳細不明だが、おそらくハイエンドに近いカテゴリを目指すと考えられる。Googleのコンセプトを体現すべく、必要なハードウェアが搭載され、それに適した形でカスタマイズが行われるはずだ。同社が提供する世界中でネットワークサービスが利用できる「Project Fi」という仕組みがあるが、TelegraphによればGoogleオリジナルデバイスの提供にあたり携帯キャリアとの議論を進めており、ローンチにあたっては特定キャリアとの共同プロモーションを含めた、従来ながらの携帯電話サービスを展開することになるのかもしれない。端末のビジネス展開については2016年の初めにMotorolaからRick Osterloh氏を引き抜いており、同氏を軸に事業化を進めていくものとみられる。

なお2016年版Nexusは、現在HTCが供給元として有力視されており、「Marlin」と「Sailfish」の2種類の開発コード名の製品があるといわれる。OSにはAndroid N、プロセッサにはSnapdragon 820後継モデルが採用されるという噂もあり、従来のNexusに比べれば比較的ハイエンド寄りの製品となるかもしれない。この理由として、「Android VR」などプロセッサパワーを要求するソリューションが提案されていることが一因とみられる。