消費電力 & 動作周波数(グラフ60~67)
さて、最後になったが消費電力測定である。今回は3DMarkのFireStrike Ultra(4K解像度)を実行し終わるまでの消費電力と周波数の変動をログしてみた。
まずグラフ60が実効消費電力の値そのままである。最初の台形部がGame Test 1、次がGame Test 2、その次の低い台形部はPhysics Test、最後の台形がCombined Testである。一番消費電力が高いのはR9 390を利用した場合で、これにGTX 980/GTX 970が続き、RX 480/GTX 1070と続く感じだ。
今回はプラットフォームがX99+Core i7-5930Kとなかなか消費電力の大きな構成なので、無負荷時の実効消費電力との差を算出したのがグラフ61である。傾向的には大きく変わらないが、ここからPhysics Test以外のそれぞれの台形部の平均値を算出したのがグラフ62となる。
R9 390が突出して消費電力が高いのは、プロセスが古いことも要因だし、Maxwellベースほど最適化を図っていないということもある。それはともかくとして、RX 480はCombined Testを除くとGTX 1070と同程度というよりはちょっとだけ大きい感じである。性能/消費電力比という意味では、GTX 1070に比べるとちょっと分が悪い(R9 390あたりと比較すると格段に良いのだが)ことになる。
これはなぜだろう? ということで、消費電力と一緒にGPU-Zを使って動作状態のモニターを行った結果をグラフ63~67に示してみた。オレンジがコアの温度、水色が動作周波数をプロットしたものだが、GTX 1070に比べるとRX 480はかなり激しく動作周波数が変動しているのが分かる。
動作周波数の絶対値そのものはGTX 1070の方が高いのだが、温度の上がり方がかなり緩やかなのは、そもそもダイサイズが大きいことと、ヒートシンクにもそれなりのゆとりがあるのではないかと思われる。一方RX 480は温度上昇しやすいようで、かなり細かく制御を入れないと限界に達してしまう感じだ。
ここからは筆者の主観であるが、たぶんFireStrike Ultraは、GTX 1070には負荷的にそうきついものではなく、なので動作周波数こそ高いものの、内部のシェーダーはそこそこ遊んでいる(Clock Gatingにより無効化されている)ため消費電力はそう大きくない。一方RX 480は本当にフルに稼動している感じである。
例えるなら高速道路をターボつきの軽で走るのと、3L NAエンジン搭載の車で走るのと、どちらの燃費が良いかという感じだ。答えはゆとりのある3L NAの方が無理のない分燃費が改善しやすいわけで、GTX 1070が3L NAエンジン、RX 480がターボ付の軽という感じである。RX 480単体では、FireStrike 3Dはちょっと想定以上に荷が重かったのかもしれない。