これまで、iOS向けのアプリ開発者たちは、新しい機能やAPIが追加されるごとに、Appleも想像し得なかった活用方法を思いつき、世に送り出してきた。そのことは、筆者はもちろん、Appleにとっても「興奮すべき体験」になっているはず。
リッチ通知からは、新しいアイディアや面白い使い方がたくさん生まれてきそうな予感がしている。
問われるのは、ユーザーが自分のアプリを含むどのような体験をしているのか、あるいはどのような体験に不便さを感じているのか。細かすぎて調査をしても上がってこないような、しかし解決すると多くの人々に気づきを与え、快適さをもたらすようなことに、開発者が気付けるかどうかということである。もはや、センスの世界と言えるだろう。
同時に、自分のアプリがどのように使われていて、どの機能を切り出して流通させるとユーザーが活発に反応するのか、という自分のアプリに対する「カット編集」をかけるセンスも問われることになる。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura