なぜアリババの株を売却した!?

中国市場を足がかりに急速な成長を遂げている阿里巴巴(アリババ)の株を一部売却した件について聞かれると「売却に際しては、(阿里巴巴の創業者で現会長の)ジャック・マーなどと緊密にやり取りをした。先方に迷惑がかからないよう、9カ月くらいの時間をかけて実行した」と話した。

一部の株を売却するなどした結果、財務体質が強化された

これまでソフトバンクでは資金繰りに困って株を手放すというケースが多かったが、今回は自らの意思で株を売却したという。「ニケシュの力添えも大きかった。私は、阿里巴巴の将来を信じ込んでいる。したがって一株たりとも売りたくはなかったが、会社のバランスを考え、一部を売却した」と弁明した。

最近のソフトバンクは保守的だ!

続いて、「昔のソフトバンクは、他社が驚くような安いプランを発表していた。最近は攻めの姿勢が影を潜め、他社に追随しているように見える。攻めのKDDIに追いつけておらず、昔のドコモを見ているようだ」といった意見が寄せられた。これには、ソフトバンクの代表取締役社長である宮内謙氏が応じたが、「国内の携帯電話事業はSoftBankブランドとY!mobileブランドの両軸でやっている。安値で展開しているY!mobileでは、いま『ワンキュッパ』と宣伝している。ソフトバンク光と絡めて利用料金を割り引くサービスも提供中。これからも手堅く利益も上げつつ、契約数も稼いでいきたい」と話すに留まった。

株主の質問に回答する、宮内謙氏

人工知能の暴走について

第36回定時株主総会で、孫代表は人工知能(A.I.)が人類の知能を超えて進化する、いわゆる「シンギュラリティ(Singularity)」について、長時間のプレゼンを行った。これに伴い、株主からは「人間の制御を超えた人工知能が暴走するリスク」を心配する声があがっていた。

そうした声を受け孫代表は「今世紀における最大の課題になるのではないか。知恵も知識も人間を凌駕する人工知能という存在がこの世に生まれる。したがって、人工知能が我々を制御する、そんな環境が生まれる可能性もある。人類の破滅につながるリスクもある」と前置きをしたうえで、「人間には知性だけでなく理性がある。愛情が深まるほど人に優しくなり、他と調和する。そうした『社会性』が人類の特徴。これは教育や経験によって得られる」と説いた。

続けて「人類は、超知性の人工知能と力を合わせながら進化していくのではないか。悪い考えを持った一部の人工知能に、残りの人工知能が抵抗した結果、より多くの人工知能が人類と共に正しい方向に動いてくれる、そんな未来を想像している。情報革命の一部を担うソフトバンクグループでも、最大限の努力をしていく」との展望を述べた。