LINEモバイル参入に他のMVNOの反応は?

格安SIMサービスのIIJmioを展開するインターネットイニシアティブの勝栄二郎代表は「(LINEモバイルの参入に)歓迎したい。格安スマホの存在が宣伝されれば、市場も拡大する」と話す。FREETEL SIMを展開するプラスワン・マーケティングの増田薫代表も同様の意見だ。「100%歓迎したい。同じような趣旨、仲間が増えることで市場が盛り上がっていいと思う」(増田氏)との認識を示す。

他のMVNOに聞いても答えはほぼ同じ。歓迎ムードが強いのが実情だ。「全体を10とした場合に、危機感が1、期待が9といったところ」(某MVNO幹部)とする。

競合を歓迎する理由

意外なまでに危機感が少なく、拍子抜けしてしまうが、MVNOの現状を把握すれば、それが理解できるだろう。先に述べたとおり、MVNOのターゲットとなるのは、漠然とした不安を抱える人たち。テレビCMなどを通じて格安通信の存在は知っていても、様々な不安を抱え、「料金は魅力だが、よくわからないサービスなら契約しない。現状のままでいい」といったような人たちだ。

そうしたターゲットに、LINEモバイルが手軽に利用できるサービスであること、ひいてはMVNOが手軽に利用できることを知らしめてくれるのは、非常に都合がいいのだ。

そして、MVNOのサービスが伸びているとはいえ、大手携帯電話会社の契約数に比べれば、まだまだ市場は小さい。総務省が3月中旬に公表した「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」によると、2015年12月末の携帯電話の契約数は1億5442万で近年は横ばい、MVNOは年々増加しているものの991万(大手携帯電話会社グループのMVNO契約数を除く)に過ぎない。小さなパイのなかで奪い合うよりも、手を取り合って市場を拡大しようと考えたほうが、現状はLINEモバイル以外のMVNOにとっては賢い選択となる。だからこそ、高い認知度を持ち、一気にMVNO契約までの障壁を低くしうるLINEモバイルは歓迎すべき存在になるのだ。

※上記MVNO契約数比率はMNOであるMVNOを除外(出典:2016年3月16日公表の電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ別紙をもとに作成)

そしてもうひとつ。見込客や契約者数が増えれば、MVNOがとれる方策は大きく変わる。このあたりもLINEモバイル参入を歓迎すべき理由のひとつとなる。