2016年5月26日(現地時間、日本は27日午前8時頃)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14352を、ファーストリングを選択したPC向けにリリースした。2週間ぶりに登場した本ビルドでは、CortanaやWindowsインクの改良やパフォーマンスの改善が行われている。
Cortanaを中心にした改善とバグフィックが加わったビルド14352
詳しくは後日掲載する記事で述べるが、これまでMicrosoftはAnniversary Updateのリリースタイミングを2016年夏とアナウンスしてきたが、Windows 10のハードウェア要件を説明する「Minimum hardware requirements.aspx)」に目を通すと「バージョン 1607(=2016年7月)」となる可能性が高い。そもそもAnniversary=記念日であることから、Windows 10 バージョン1507をリリースした7月29日にローンチすると推察できる。この仮定が正しければ、ローンチまで残すところ約2カ月。Windows開発陣は新機能の実装よりもバグフィックスに注力するはずだ。
だが、公式ブログを読むと、いくつかの機能改善が加わっている。まずはCortanaにローカルストレージおよびOneDrive上の音楽ファイルを再生する機能が加わった。「Cortanaさん、再生、{曲名}」「Cortanaさん、{アーティスト名}を再生」「Cortanaさん、{Grooveミュージックのプレイリスト名}を再生」「Cortanaさん、一時停止」といった具合に操作できると、Microsoft Engineering Systems Team CVP Gabriel Aul氏は説明している。これらの操作はPCがロック画面の状態でも可能だが、現時点では英語版のみ。日本語で話しかけても動作しなかった。
Cortanaに関するもう1つの改善が、アラーム管理機能。Windows 10には「アラーム&クロック」というUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリケーションを用意しているが、今回の改善でCortanaからアラーム設定が可能になるというものだ。具体的には「Cortanaさん、タイマーを10分にセット」「Cortanaさん、残り時間は?」「Cortanaさん、タイマーをキャンセル」と話しかけることで、アラームを制御できる。
筆者もちょっとした休憩時間を設定するためにアラームを多用しているが、アラーム&クロックはキーボード&マウスUIでは使いにくいため、ついスマートフォンのアラーム機能を使ってきた。確かに「自然言語を使ってUXを向上させた(Aul氏)」ているものの、自宅ならともかく出先で「Cortanaさん~」と話しかけることは憚れるため、キーボード&マウスUIの改善も合わせて期待したい。
Build 2016で披露されたWindows Inkは既にビルド14328から使用可能だったが、本ビルドでもCortanaの連動した改善が加わっている。例えば付箋からCortanaのリマインダーを作成し、メールアドレスから「メール」、URLからMicrosoft Edgeといった他のアプリケーションの連携を実現したという。機能は英語版に制限されているため、具体的な連携は確認できなかったものの、実現すれば単にメモを取る付箋から、次のアクションにつなげるパーソナルアシスタントとしての役割を強化しそうだ。
Windows Inkのスケッチパッドなどで使用する定規も目盛りを見やすくし、アイコンの更新、起動時間までのプロセス改善など使い勝手の向上を実現している。以前のMicrosoftはペンによるメモ作成ツールとしてOneNoteを推奨していたが、動作精度が向上して前述した他のアプリケーション連携が進めば、かなり便利な機能になりそうだ。
その他の変更点として、Windowsゲームバーでゲーム動画を作成するGame DVR機能をフルスクリーン表示時に正しく動作するように改善している。具体的には、League of Legends、World of Warcraft、DOTA 2、Battlefield 4、Counterstrike: Global Offensive、Diablo IIIで正常動作するようになった。また、「フィードバックHub」にはMicrosoftのエンジニアによるレスポンスが加わり、エクスプローラーのアイコンを再び黄色系に戻している。我々にはあまり関係ないが、Home/ProエディションからEnterpriseエディションへプロダクトキーベースに移行可能になった。