発想の転換で生まれた人気イベント

人気イベントには、よみうりランドのスタッフが発想を転換したことで誕生したものもある。その代表例がジュエルミネーションだ。そもそも冬の夜というのは、遊園地にとって来園者数が見込めない時間帯にあたる。寒くて暗い冬の夜に、屋外型アトラクションを楽しもうという人が減るのは当然で、よみうりランドも以前は、冬になると16時半に営業を終了していた。

ジュエルミネーションは遊園地にとって魔の時間帯ともいうべき冬の夜の効果的な活用事例となった。スタッフの発案で生まれた同イベントは、スタッフ自らが電飾を整備した第1回(2010年冬)で10万人の集客を達成。翌年からは照明デザイナーの石井幹子氏にプロデュースを依頼し、イベントの内容を充実させた。2015年冬の集客は57万人を超えたという。

2015-2016シーズンに実施したジュエルミネーションの様子(提供:よみうりランド)

使っていない時間、使っていない場所を有効活用するという方向性は、プール営業にも共通する特徴だ。プールでは1日に何度か水中点検の時間がある。その間、プールに入れない来園者にしてみれば、水中点検は手持ち無沙汰な時間になりがち。よみうりランドはこの時間をイベントで埋めることで、プールサイドでも楽しく過ごせる新たなプール営業の在り方を追求している。

ソフト充実、料金据え置き路線で他施設との差別化は容易だった

イベントが充実し始めた2008年度の年間来園者数が64万人だったのに対し、2015年度は173万人と過去最高の数字を叩き出した。注目すべきは増加率で、よみうりランドは7年間で来園者数を2.7倍に増やしたことになる。

他の施設がハードの拡充と値上げを続ける一方で、よみうりランドは料金を据え置きつつ、ソフト面を充実させることで来園者数の大幅な増加を成し遂げた。値上げが続く業界において、よみうりランドは料金据え置き路線を堅持するだけで他施設との差別化を図れるポジションにあったといえる。その道を選ばず、あくまでグッジョバ!!の新設計画を推し進めたよみうりランドには、どのような狙いがあったのだろうか。