西友が展開するプライベートブランド(PB)「みなさまのお墨付き」。味・価格・量について70%以上の人が支持しないと商品化されないという、ストイックな商品開発で一躍有名となった。PBというと「安かろう悪かろう」のイメージが拭いきれないが、みなさまのお墨付きはその不安をうまくカバーしているのも特徴的だ。

2012年12月のデビュー以来、みなさまのお墨付きは740アイテムまで拡大(2016年4月末)。2015年に新規投入したPB商品は280アイテム超で、売上高は前年比約15~20%増をキープしている(もうひとつのPB「きほんのき」を含む。シンプルで無駄を省いた商品を圧倒的な低価格で提供する、というのがコンセプト)。

「みなさまのお墨付き」のリニューアル商品

100商品を値下げ

合同会社西友 商品本部 商品開発部 バイス・プレジデント 越智幸三氏

好調な西友のPB事業が新たな展開を迎える。5月19日に開催された記者発表会では、既存商品のリニューアルを強化すると発表した。発表会に登壇した合同会社西友 商品本部 商品開発部 バイス・プレジデント 越智幸三氏はロードマップを提示し、「品目数をとにかく増やし続けるトライアルステージの終盤まで来た。西友のPBは、今後さらにブランド力を高めるために、ロイヤリティを構築するフェーズに入る」と説明。いたずらに新商品を増やし続けるのではなく、既存品を「品質向上」「価格強化」の2点からさらにブラッシュアップしていく。

みなさまのお墨付きは新たなフェーズへ

リニューアル商品、まずはコーンフレークから発売

まず品質向上についてだが、「飽きられない」ことを重視し、売上数量の多いものや消費者からの期待値が高いもの、ナショナルブランド(NB。PBに対してメーカー名を冠して販売する商品)で頻繁にリニューアルが行われるものなどを積極的に"再テスト"にかける。これまでも1.5~2年というスパンで再テストしていたが、そのサイクルにかかわらずリニューアルしていく。

たとえば、「しょうゆヌードル」。もともと「NB商品の3倍売れている人気商品」(越智氏)なのだが、スープの味を改良し、具材を増やすことで支持率は91.7%から98.2%へ。売上は旧しょうゆヌードルに比べて33%アップした。このように、消費者のニーズやトレンドに合わせて、よりスピーディーにリニューアルを図っていくという。

価格強化については、具体的には2016年から2017年にかけて100商品を値下げ。もともと、みなさまのお墨付きは消費者との"約束"として「同品質のNBよりも約1~2割安く」を掲げている。先ほどの品質向上が「飽きられない」ための策ならば、こちらの価格は「より多くの人にPB商品を買ってもらう」という策。500mlペットボトルの緑茶は、65円から59円(いずれも税別)に値下げしたら売上45%アップ。顕著に売上へ反映される結果となった。

みなさまのお墨付きで行われる消費者テストは、20~60代の女性を1アイテムにつき100名強集めて行われる。味の好みが年齢や住んでいる地域によって異なるため、合格するのはなかなか厳しいとか。しかし、消費者テストで重要なのはフィードバックだ。一度はボツになったサンプルを改良し、再テストで晴れて合格するケースも多い。ブランドイメージも上々の評価だ

最優先は「カカクヤスク」

ただし、「NB商品を安くすることが第一」と越智氏は強調。このままPB商品の数を増やし続けると、店頭の棚からNB商品を追いやってしまう。それもあって、このタイミングで既存品のリニューアルを強化する方向へ舵を切ることになった。

今回の発表は、親会社ウォルマートと西友が掲げる「EDLP」(Every Day Low Price)推進の一環だ。消費者が西友に期待するのは「良い物を安く買えること」であり、その期待に応えるべく、これまでもこれからも「愚直に価格を追求していく」(西友の広報担当者)。

食料品だけでなく日用品も展開。ペットシーツのほか、トイレットペーパーやティッシュペーパーなど消耗品を発売する

ファミリーマートやセブン&アイ・ホールディングス、イオングループなどが高品質を謳う"ちょっと高級"なPB商品を打ち出すなかで、西友は一貫して「カカクヤスク」の姿勢をキープ。今後も高級路線のPB商品を提供することはないという。

そのかわりといっては何だが、高級感のある商品ではなく、他社PBにはあまりないような商品開発には積極的だ。「バターチキンカレー」「マッサマンカレー」といったレトルトのエスニックカレーを引き合いに、越智氏は「今後もこういった商品を投入していきたい」という。PBの良さのひとつは、消費者のニーズをより色濃く反映できること。その強みを生かして、今後は食品のみならず消耗品を中心に日用品も展開していく。