一方、アクティブ・ラーニングが浸透するにつれ、目立ってきたのが“プログラミング”を絡めた授業だ。iPhoneアプリやゲーム、アニメを作ったり、ロボットを組み立てそれにプログラミングで動きを与えたりといった授業がよく知られている。2013年にサイバーエージェントが小学生向けプログラミング教室を運営するCA Teck Kidsを設立するなど、教育産業以外の企業の参入も目立ち始めている。

プログラミングを絡めたアクティブ・ラーニングが注目されている理由は2点ある。アプリやゲーム、ロボットなど、子どもたちの興味を喚起しやすい素材を扱うというのが第一の理由。そして、プログラミングを覚えるという主目的だけでなく、IT機器への理解や数字、アルファベットに触れるという、いわば“副産物”ともいえる効果も期待できるのが第二の理由だろう。

このプログラミングを絡めた授業をのぞく機会も得た。「ロボ団」と名付けられたその教室では、文字どおりロボットを制作し、専用ソフトウェアを用いてプログラミングを行う。

トライ&エラーで理解を深める

レゴとMITが共同開発したマインドストーム EV3。授業ではアームを持ったロボットがペットボトルをつかむ動きを再現

同教室で扱うのはレゴ社とマサチューセッツ工科大学(MIT)が共同開発した「マインドストーム EV3」。教室内は小学校低学年とみられる子どもたちが多かったが、同素材は10~21歳向けと、少々ハードルが高いように思えた。

講師によると、「あえて小学校高学年以上が対象の素材を使うことで制作に失敗してもらい、トライ&エラーができるようにしています」と話す。繰り返し失敗することで“なぜだろう?”という疑問が生じ、その分、成功した際、より一層理解が深まりやすいというワケだ。

また、基本的に2人一組というのもポイント。協働でブロックを組み立て、協働でプログラミングすることで他者との関わりを覚えられる。この教室では2人で1台のパソコンを使ってプログラミングするが、一方が入力、もう一方が先生の指示したとおりに入力されたかをチェックし、一巡するとその役目を入れ替える方式を採っていた。役割分担への理解も深まるという寸法だ。

ロボットを組み立て、プログラミングを行う。アームが閉じる速さや閉じている時間を指定できるなど、複雑な動きを設定可能

文科省は思考力・判断力・表現力のほかに「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)」についても入試の評価に加えるよう示す。幼い頃から協働性を養っておいて損はない。

さて、文科省といえば4月20日、小学校の必修科目にプログラミングを加えることで検討に入ったことを示した。これを受けて、教育産業に関わる企業のみならず、IT関連企業もにわかに活気づくだろう。