PIPERが教材として優れているのは、マインクラフトで遊ぶためにはイヤでも工作をしなければならないという、ゲームと現実の融合を作り出している点だろう。
ストーリーが進むと、小型ブレッドボードも使って配線を増やし、LEDを付けたりスイッチの操作をする必要が生じる。「正しいパーツを取り付けて決められた場所に配線をする」は、電子工作に限ったことではない。だが、ゲーム内のクエストをクリアするためには、ゲーム内の操作だけでなく、現実の配線やスイッチ操作も必要。この併用が、PIPERの教育効果となるところだ。
![]() |
![]() |
ストーリーが進むにつれて、実際の工作作業も増える。つまりゲームを先に進めるためには、工作を含めて謎解きをしないといけない |
以下、「現実とゲームの融合」を紹介。Piperbotを動かすためにはコントロールスイッチが必要となるが、ゲーム画面で「スイッチはここに置く」と指定が出る |
![]() |
![]() |
スイッチの端子は「くの字」に曲がっていて、このままだとブレッドボードに差しにくい |
あらかじめペンチを使って刺しやすいように伸ばしてやる。こっそり親が修正しておくといいだろう。「刺さらない~」といって子どもが無理やり押し込むと、ピンを曲げてしまってかえって修正が困難だ |
![]() |
![]() |
スライドスイッチはゲーム画面中でも同じように表示される。右向きはバルブが閉まっていて水が流れない状態 |
左向きにするとバルブが開いて、エレベーターが動作するので、右のリフトが上に上がり出す。つまり正解は「リフトの上に乗ってからスイッチを動かす」 |
さて、第1回でも書いたが、「コンテンツがすべて英語」というところが、日本の小学生がPIPERを遊ぶときに最大の障害となると思う。出てきた文字を「こういう意味」と漠然とでも教えてあげると、英語の学習にもなるだろう。
余談だが、筆者は(LEDを使う)3つ目のレベルでちょっと手間取った。というのも「レッドブロックを掘れ」と書いてあるので掘ってみたら何も起こらず、そばに赤いLEDとおぼしき巨大パーツがピカピカしているので、そこに秘密があるのかとブロックを積み上げて登ってみたり、さらに上にあるRaspberry Piを模したモジュールに秘密があるのかとあらぬ行動をしていた。正解はレッドブロックの下にゴールドブロックがあるので、これを掘る。ちゃんとヒントを読んでいればこんなところでつまづかない。
PIPERは、Raspberry Piという小型コンピュータを教材に利用しており、よくできた応用例だと感じた。将来的には、他の電子パーツを追加してパワーアップすることもできそうだ。また、RaspbianなどのOSを入れたmicroSDHCカードに交換して(別途用意)、キーボードを追加すれば、「モニター付きのRaspberry Piフルセット」にもなる。親子の趣味としても価値があるのではないだろうか。