Apple史上最大のプロダクト完成へ

今回のキーノートは1時間と短く、「one more thing..」はなかったが、最後に未来への期待が膨らむ小さなサプライズが用意されていた。

「おそらくこれが、このタウンホール(現在のAppleキャンパス: 1 Infinite loop)で行われる最後の製品発表になるでしょう」 (ティム・クック氏)

WWDCの基調講演や秋のイベントは大きなイベント会場が必要になるので、現在のAppleキャンパスのタウンホールは使われない。次にAppleキャンパスでスペシャルイベントが開催されるとしたら来年、現在建設中の新キャンパスに設けられているシアターでの初の発表会になる可能性が高い。基調講演で新キャンパスの完成後に言及したのは、これが初めてだ。

iPodやApp Storeなど、数々の発表が行われてきたAppleキャンパスのタウンホール

現在建設中の新キャンパス内のシアター

40年の歴史で始まり、新たな歴史を示して終わったスペシャルイベント。その節目の時期にAppleはFBIとの対立という想定外の問題を抱えてしまったが、見方を変えると、当局とのトラブルはAppleが真にパーソナル・デバイスの企業であることを示す試金石になる。状況は厳しく、もしパーソナルデバイス・メーカーとしての根幹が揺らぐようなことになれば、40年の歴史が崩れる可能性だってある。しかし、Appleが変わらぬ姿勢のままこの難局を乗り越えられれば、人々のプライバシー保護の原則を守った同社は他が簡単には真似できない信頼を獲得できる。これまでの40年がそうだったように、Appleはこれからも変化し続けていくだろうが、人々と共にあり、人々のための製品を作り続ける限り、同社はユニークなパーソナルデバイス・メーカーであり続けられる。