また、二子玉川ライズの再開発には、“都市型再開発”にはみられない“郊外型再開発”の特徴が多くみられる。その一例が環境性能に配慮した設計だろう。二子玉川ライズ内を歩くと目に付くのが、金網で固定されただけの素朴な構造の石垣。これは、建設用地から出てきた石を利用したもので、多摩川沿いという以前は河原であった立地ならではといえる。さらに用地内に植樹された植物は、すべて多摩川や等々力渓谷等に由来するものだという。商業施設の屋上には「ビオトープ」が設置され、周辺住民の憩いの場ともなっている。

建設用地から出てきた石を使った石垣(左)と、多摩川の植生を生かした庭木(右)。環境性能を重視した街づくりは、米国グリーンビルディング協会による「LEED ND ゴールド認証」を世界で初めて取得した

多摩川の生態系を学べる解説板や昆虫標本が展示してある

楽天という名だたるグローバル企業が入居する高層ビル真下の芝生緑地で、学校の制服を着た子どもたちが“かけっこ”をして遊んでいたのが印象的だった。高層ビルが林立し、付近の道路にクルマがあふれている都市型の再開発の地ではなかなかお目にかかれない光景だ。オフィスビルやショッピングセンターに入居するクライアントだけでなく、周辺地域の住民との調和が郊外型再開発の地では重要なのだなと感じたシーンだった。

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