カード会社は利用者に対して、電話で利用履歴を直近数日分確認し、どれが不正利用だったかを確認する。当然利用者は、不正利用のコストを支払う必要がなく、利用明細上で返金される。しかし、例えば17日締めのカードで15日から不正利用があり、18日にそれに気づいた場合、返金処理はカードがしまった後であるため、急に高いカード請求が届いてびっくりすることもある。
これが非常に困るのだが、不正利用があった手元のクレジットカードは止まってしまい、再発行となる。
利用者は、手元に新しいカードが送られてくるまでの10営業日ほどは、クレジットカードなしの生活を強いられる。これは驚くほど不便だし、現金を持ち歩くというリスクを冒さなければならなくなる。同時にカード番号も変わってしまうため、ケーブルテレビやケータイなどの料金の毎月の支払いの登録を変えて回る必要があり、やはり別途銀行振込や現金払いなどの手間が増えてしまう。
カード会社にとっても、不正検出の仕組みをブラッシュアップし、また不正利用を電話で確認し、カードを再発行する業務に追われることになる。こうした負のループを断ち切るアイディアが、ICチップを搭載したクレジットカード「EMV」や、Apple Payなどのアイディア、ということになる。
現在、Apple以外にも、端末メーカーではSamsungやLGが、そしてGoogleもAndroidにおいても、端末での決済サービスを導入している。そして一般的に、こうした端末メーカーやセキュアな決済プラットホームを提供する企業に対して、クレジットカード会社は決済の0.15%の手数料を支払っている。
これが成立しているということは、0.15%の手数料が、不正利用対策のコストを少なからず下回っている、ということだ。