カメラの話に戻ることにする。軽く触れたLive Photosについてだ。Live Photosとは、スチール撮影をする際に、その前後の瞬間の動きや音を捉えて、短い動画にしてくれるというものだ。シャッターを押す前の1.5秒、押した後の1.5秒が記録されている。これもまたとてもユニークなユーザー体験を提供してくれる。シャッターを押した後も記録を続けているというのは理解できる。しかし、押す前の状況も記録されているのはどういうことなのだろう? 9月9日に行われた発表会の後に実施されたハンズオンで、アップル関係者に一体どうなっているのか訊いてみたところ、冗談交じりで「魔法を使っている」という返答をいただいたのだが、これまた言い得て妙だと感じられた。使っていただくのが一番だが、とにかく不思議な映像体験なのである。この機能を使うには、カメラを起動後、Live Photosのモードに入っておく必要があるのだが、おそらく、機能をオンにした時点で記録が始まっているのだ。シャッターボタンは撮影の開始とプレ撮影の終点を打ち込むためにあると推測される。Live Photosの撮影は簡単だ。カメラアプリの「写真」モード上部中央にボタンがあり、それをタップすればLive Photosの撮影モードに入る。
スチール撮影では、バーストモードという連写機能がお馴染みだが、Live Photosはそこから一歩先に進んだという観がある。バーストモードで撮った一番良いカットを残す、という使い方をするユーザーは多いはずだが、Live Photosは、確かにこれは良いカットだけど、この前後にも同じくらい良いカットがあるんじゃないだろうか、それに、この貴重な瞬間を記憶として留めておきたいんだという発想が伺える。プレ撮影しているということは逃した一瞬を取り戻せる可能性もある。皆が皆、シャッターチャンスを逃すこともあるだろうと自戒を込める求道的なiPhoneographerではないし、記憶の補助ツールとして、とても良い機能だと思う。音まで収録可能でもあるし。
Live Photosの再生では、見たい写真を深押しすればそのカットの前後の様子を見ることができる。カメラロールの写真を送ったり戻したりするときもこのアクションは適用される。こちらもサンプルのムービーで確認して頂きたい。
Live Photosの再生 |
Live PhotosはiOS 9がインストールされたiOS端末で再生することができる。間もなくリリースされるOS X El CapitanがインストールされたMacでも再生可能となる模様だ。注意してほしいのはLive Photosはフォトストリーム上ではJPEGの静止画となるということだ。他のiOSデバイスで見るにはAirPlay経由で転送する必要がある。また、これは当然のことだが、iOS 9を搭載しているデバイスでも、Live Photosで撮影することはできない。撮影可能なのはiPhone 6s/6s Plusだけだ。