カメラでは、さらにLive Photosという新機能も装備されたのだが、その前に、後述するとしていた3D Touchという感圧タッチ技術を紹介しよう。タップ、スワイプ、ピンチというお馴染みのマルチタッチ機能に、今回、スクリーンを「押す」という機能が加わった。これが3D Touchだ。従来は画面に対して平面での操作のみであったが、これで「押す」という縦方向の操作がプラスされた。3D Touchとは言い得て妙で、まさに新しい次元でのユーザー体験を提供してくれる。
3D Touchで基本となるのはPeekとPopという二つのアクションだ。この2タイプの操作から、様々なショートカットが利用できる。例えば、受信ボックスに格納されているメールを軽く押し込むと、それぞれのEメールをPeekでプレビューできる。詳しく内容を知りたい場合は、そこからさらに深く押し込む、すると今度はPopで中味が表示される。プレビューで済ませたいときは指を離せば、表示のポップアップが消える。写真アプリでは、撮影した写真のサムネールを押し込むとスクラブバーが現れ、撮ったもののプレビューができる。見たい写真があったら、そこで深く押し込む。するとPopで中味が表示され、そこから編集や共有が行えるといった具合である。
もう一つ、クイックアクションという機能が用意されている。これはホーム画面から3D Touchに対応したアプリを起動するだけでなく、さらにアプリのそれぞれの機能へ直接ジャンプできる。例えば、マップでは「自宅への経路」「現在地をマーク」「自分の現在の位置を送信」「周辺検索」が瞬時に行え、メモでは「新規メモ」「新しい写真」「新しいスケッチ」をすぐに追加できる。この三つのアクションを利用すると、驚くほどスピーディーな操作が行える。とりあえず12秒のサンプルムービーをご覧いただきたい。
3D Touchからできること。何手の作業を行っているかチェックしてみてほしい |
ここではスリープ状態からTouch IDでホーム画面へ移動、メッセージをクイックアクションから開いて連絡相手とのやりとりへアクセス、メッセージ内にあるリンクをPeekでプレビューし、Popでカレンダーへ移動、カレンダー内のスケジュールをPeekでプレビューし、Popで当該スケジュールへ移動、スケジュール内に張られたリンクをPeekでプレビューし、PopでSafariへ移動、という作業を行っている。このパラグラフ読むだけで、12秒以上かかったという方もいらしたのではないかと思うが、本当に一瞬で、使いたい機能、知りたい情報にアクセスできるのだ。上記の作業行う上で、一度もホームボタンには触っていない。iOS 8とiPhone 6/6 Plusで採用された、ホームボタンを二回タッチすると見ている画面全体が下方向にスライドするReachabilityという片手で操作をフォローする機能があるが、3D Touchを活用すればこれのお世話になる場面もぐっと減りそうだ。実際、一連の作業では、すべての操作を片手で行っている。iPhone 6/6 Plusの片手操作がしんどかったのは、どうしてもホーム画面に戻らなくてはいけない場合があったからだ。筆者は片手操作を行えるよう、iPhone 6 PlusではReachabilityに加え、AssistiveTouchを利用していたのだが、3D Touchと併用すれば、女性や小さなお子さん、手の小さい方でも楽々iPhone 6s/6s Plusを扱えるはずだ。
3D Touchを使うにあたって、最初は「長押し」と違うの? と躊躇するかもしれない。筆者もそうだった。しかし、Phone 6s/6s Plusのディスプレイは、長押しと深押しを完全に区別しているのだ。例えば、アプリのアイコンを軽く数秒「触る」と長押しの状態になり、アイコンがプルプル震えだす。そうでなく、アイコンをぐいっと深押しすると、こっちはiPhoneがブルっと震え、Peekの状態に入る。さらに深く押すとまた種類の違う震えがiPhone本体で起こり、Popに入ったことを伝えてくれる。このiPhoneが震える仕組みは、感覚的な理解を促すだけでなく、視覚が不自由な人にとっても嬉しい機能なのではなかろうか。判ってる限りでもう一種類震えのパターンがあり、それは3D Touchに対応していないアプリを深押しすると「自分はその機能に対応してないですよ」というサインを送ってくれるというものだ。これなら、誰もが同じ感覚でショートカットの操作が行える。もしかしたら、画面を強く押すという行為に抵抗感があるかもしれない。乱暴にしたら壊れてしまうのではないかと。そこで、堅牢なボディと世界中のあらゆるスマートフォンの中で最も丈夫と謳うカバーガラスである。安心して深押しして欲しい、ちょっとやそっとでは新しいiPhoneは壊れない。