サンフランシスコの水辺にいるミズガメ、新宿駅にいるフシギダネ、エッフェル塔の下にいるピカチュウ

ジョン・ハンケ氏:お招きいただきありがとうございます。Nianticのfounderのジョン・ハンケです。本日、石原さんをはじめ『ポケモン』に関わる皆さまと一緒にこの場に立ち、このようなエキサイティングな発表ができてとてもうれしく思います。石原さんと初めてお会いさせていただいた時、私と石原さんは共通のビジョンをもっており、新しい『ポケモン』のゲームを作れるのではという予感に興奮を覚えました。また石原さんが、すでに『Ingress』でかなり高レベルのプレーヤーになられたということを聞いて、とてもうれしかったです。今回、新しいポケモンのゲームを作るということに、とても興奮を覚えました。そして何より、石原さんもゲームを愛しており、新しいアイデアを常に探している方であることに感銘を受けました。

我々は、人々が友人、家族と一緒に楽しく現実世界を探索しながら、自分のまわりについてもっと知識を深めることができればという思いで、2010年にNianticを設立しました。我々の初めてのゲームである『Ingress』は、何百万人という方々にプレイされ、普段の公園の散歩や旅行が、サイエンス・フィクションに出てくるような人類の運命を握る戦いへと変貌を遂げました。ゲーム内では、現実世界の歴史的な場所、公園、モニュメントなどが"ポータル"と呼ばれる重要拠点となり、プレイヤーは毎日"ポータル"を巡って競い合っています。そして、現実世界で繋がることができるというのがこのゲームの新しい部分です。プレイヤーは現実世界で待ち合わせをして、ミッションや探検を一緒に行うことができます。そして数カ月に一度は、世界中の都市で行われるイベントに参加し、お祭りのような雰囲気の中、街を探索し、戦いを楽しみ、プレーヤー同士で交流を深めています。

このようなゲームを通じた現実世界のつながりはより深みを増し、愛情にも発展しています。ゲームを通して結婚するユーザーまで現れ、今年にはなんと『Ingress』によって結ばれたカップルに赤ちゃんが誕生しました。そして本日、このような新しい体験は、さらに大きな一歩を踏み出すこととなります。我々はポケモンおよび任天堂と一緒に、『Ingress』の長所を合体させ、今までの『ポケモン』によりもたらされた世界を現実世界に持ち出そうとしています。石原さん、そして生前の岩田さんが共有していたビジョンのように、このゲームは家族全員で安心に楽しめるもので、みんなで外に出て新鮮な空気を吸い、新しい場所を発見するモチベーションを与えること請け合いです。今回初めて、ポケモンは現実世界を自由に歩き回ることになります。『Pokémon GO』では、プレーヤーは世界中の公園、ショッピングセンター、歩道、田舎町などに住むポケモンを捕まえることができます。サンフランシスコの水辺にいるミズガメ、新宿駅にいるフシギダネ、エッフェル塔の下にいるピカチュウを想像してみてください。私ももっともっと冒険がしたいですし、このゲームで遊ぶのが待ちきれません。このゲームには、1人重要なパートナーがいらっしゃいます。ここで1人の伝説的なゲーム開発者を紹介させてください。彼は当初から『ポケモン』の開発に関わってきた方です。紹介いたします。増田さん、どうぞステージへ。

『ポケモン』が生まれて20周年、大きな意味がある時期のプロジェクト

増田氏:『ポケモン』のゲームのディレクターをしています、GAME FREAKの増田です。今回のこのプロジェクトでは、世界観の構築やゲームデザイン、音楽で参加しています。皆さん、ついにこの地球上にポケモンが現れることになりました。世界中のあらゆる場所にポケモンが住んでいます。それを探し出し、モンスターボールを投げて、捕まえる。そして、捕まえたポケモンでバトルをする。そんなシンプルなゲームの中に、深みのある遊びを加え、幅広い世代で楽しめるようなゲームを作っています。私は、ポケモンというのはペットというより、より人に近い友達のような生き物だと考えています。『ポケモン』が持っている新しい可能性を導きだせるよう、今までのポケモンの常識を取り払ってNianticとともに全力で取り組んでいきます。もちろん、次の『ポケモン』の完全新作とどのような関係を持つのかも考えていきます。2016年は、『ポケモン』が生まれてちょうど20周年にあたります。私にとって、とても大きな意味があるこの年に、このプロジェクトに参加することができてとてもエキサイティングです。皆さん、この『Pokémon GO』にご期待ください。