まとめと考察

ということで考察である。なんというか、GeForce GTX 970を仮想敵にするのはややOverkillすぎないだろうか? と感じだ結果であった。確かにAMDが言うように、GeForce GTX 970と比べると十分に高速だし、4Kでの性能は3割位違うのも珍しく無い。

少なくともFull HDの環境で言えばかなり重めなゲームでも十分楽しめるし、負荷のそう重くないゲームなら4Kでも楽しむ事が可能である。それでいてサイズはMini-ITXのCubeに十分入りそう(厚みが2slotなのが問題で、昔のMini-ITX Cubeだとケースが閉められないかも)なサイズである。ここまでには何のうそ偽りも無い。消費電力はやや大きめだが、性能を考えれば妥当な範囲だろう。

今回の結果は、前回のRadeon R9 Fury/Fury Xのレビューとそのまま値を比較するわけに行かない(CPUもOSもドライバも異なる)のだが、Radeon R9 Furyとそう大きくは違わない感じを受けた。取りあえずGeForce GTX 970は完全にぶっちぎっており、本来はGeForce GTX 980あたりと比較するほうが妥当かもしれない。

問題は価格と入手性である。公式にはこの原稿を書いている現時点(9月10日朝5時)の時点でまだ価格が不明なのだが、アメリカにおける希望小売価格は$649という話が聞こえてきている。つまりRadeon R9 Fury Xと同じ(!)価格である。ということは日本における初値は11万円台であろうか(Sapphireの「R9 NANO 4G HBM」が税別10万円弱で販売予定というアナウンスもある)。

今回評価に利用したASUS GTX970-DCMOC-4GD5は49,788円という値が付いているが、「GeForce GTX 970であれば何でもいい」というのであれば4万円そこそこでも入手できる事を考えると、これはあまりに高すぎる。

おまけに、いまだにRadeon R9 Fury/Fury Xの流通量が非常に少ない事を考えると、Radeon R9 Nanoの入手性もあまり期待できそうに無い。この辺りがRadeon R9 Furyの最大の問題だろう。GeForce GTX 970並みとは言わないまでも、せめてGeForce GTX 980と同等の価格と入手性になってくれないと、ちょっと価格/性能比が悪すぎる気がする。

現状は、この極端な小ささに価値を見いだせる人にしかお勧めしにくいというのが正直な感想である。