独自のミラー振動制御システムでブレを低減
一般的に高画素であるほど、被写体の細部まで精密に再現可能になるが、同時にカメラブレが目立ちやすくなる弱点もある。そこで「5Ds」および「5Ds R」では、ブレを抑えるためのさまざまな工夫を盛り込んでいる。
中でも大きいのは、メインミラーの駆動に、カムによる独自の振動制御システムを取り入れたこと。バネではなくモーターとカムギアによってミラー駆動を行うことで、精緻な制御とカメラブレの抑制を図りつつ、カム形状の工夫によってミラーの衝突エネルギーを低減しているという。
実際の使用でも、シャッターを切った際のミラーショックが既存モデル「5D Mark III」よりも明らかに小さくなっていることを体感できた。またシャッター音が静音化したこともありがたいポイントだ。
さらに三脚使用時のブレを抑えるため、三脚座の剛性強化や、三脚座を保持する底面シャーシの改良なども実現。見た目の変更点は少ないが、中身は別物といえるくらい「5D Mark III」から大きく進化している。
新機能としては、ミラーアップ撮影時の「レリーズタイミング設定」に注目したい。これはミラーアップ撮影の際、設定した秒数後に撮影を行うことで、ミラーアップによる振動の影響を避ける機能だ。1/8~2秒まで5段階で設定できる。
レリーズタイミングの設定画面。これまではシャッターボタンの2回押しで操作していたが、1回の全押しで、設定した秒数後に撮影可能になった |
AFフレームが乗り移りながら動体を追尾する「EOS iTR AF」に対応。動体に対しても確実にピントを合わせられる |
そのほかのブレ対策としては、ライブビュー撮影の際にミラーアップ状態のままシャッターを切る「LV静音撮影」や、ファインダー撮影時にミラーショックによる振動と動作音を低減する「静音撮影」モード、先幕の動きをCMOSセンサー制御で再現する「電子先幕シャッター」を引き続き搭載している。
AFには、クロスセンサー41点を含む61点の位相差AFセンサーを装備。測距点の数は既存モデル「5D Mark III」と同じだが、AFセンサーとAEセンサー、AF補正用・光源検知センサーの3つを連携させることでAFの総合性能を高めている。
さらに付加的な機能として、疑似的な望遠効果が得られるクロップ撮影機能や、指定した一定の間隔でシャッターを切るインターバルタイマー、一定間隔で撮影した静止画をつないで動画に仕上げるタイムラプス動画、リモコンを使わずに長時間露光が行えるバルブタイマーなどを新搭載する。