7月8日(米国時間)、Microsoftは最大7,800人にも及ぶ人員削減計画を発表した。2014年7月に発表した18,000人削減、2009年の5,000人削減から数えて3回目の大規模リストラとなった。

2015年1月時点でのMicrosoft全世界従業員数は126,945人。その数字に対して約13%の人員削減となる。対象となるのはスマートフォンデバイス事業に従事する社員。2014年のリストラもその中心は旧Nokiaに在籍していた専門職および工場従業員だった。

リストラを敢行する理由としてMicrosoft CEOのSatya Nadella氏は「我々は単独のスマートフォンビジネスを成長させる戦略から、Windowsエコシステムの構築と成長を推し進める戦略へ移行中だ」、「携帯電話は我々のファーストパーソンデバイスに含まれるが、短期的にはより良い製品とスピーディで効果的なスマートフォンの資産構成を目指す」と今回のリストラが単なる人員削減ではない点を強調している。

Microsoft CEOのSatya Nadella(Satya Nadella)氏

また、リストラに要する費用として7.5~8.5億ドル(約908~1,028億円)を見込んでいるが、これは大きな問題ではない。よりも注目するべきは、Nokiaのデバイスおよびサービス事業から得た資産を一括で償却する点である。その結果、76億ドル(約9,200億円)の減損になるとMicrosoftは説明した。

MicrosoftはWindows Phoneから撤退するのか

さて、Microsoftは「Lumia」ブランドのWindows Phoneデバイスを日本以外の各国で発売している。先頃は日本マイクロソフト社員用デバイスも、特別に技適マークを取得したLumiaデバイスに切り替わり、日本国内におけるWindows Phoneデバイスの再投入に期待が高まりつつあった。

新興国向けに先頃リリースした「Lumia 540」

だが、今回のリストラ計画には、Microsoft自身がスマートフォンデバイス(=Lumia)事業を続ける意味が小さいため、競争軸を変更する目論見がある。Nokiaの携帯電話事業買収にもっとも乗り気だったのは前CEOであるSteve Ballmer氏であり、Nadella氏はもともと反対の姿勢を示していた。

2015年Q3のスマートフォンデバイス部門に関する情報を確認すると、Lumiaシリーズは860万台を販売し、14億ドルを売り上げている。だが、前期と比べると16%の減収であり、決してよい成績とは言い難い。市場シェアもiOS/Androidに大差をつけられたままだ。

このように"お荷物"的存在であるスマートフォンデバイス事業に対して、アプローチと変えようとするのが今回の発表内容だ。では、MicrosoftはLumiaシリーズから完全撤退するのだろうか。筆者の予測は"否"である。まず、2015年後半に登場する予定のWinodws 10 Mobileをインストールするデバイスが現状では少な過ぎるのだ。

7月1日、日本マイクロソフト代表執行役社長に就任した平野拓也氏は「今までお付き合いの少なかったデバイスベンダーからも多くの問い合わせを受けている」、とWindows Phoneデバイスの開発が国内でも盛り上がりつつあることを示していたが、ハードウェアをパートナー企業だけに頼る旧来の手法を選択する可能性は薄い。Surfaceのようにターゲットを絞って開発を続けるのではないだろうか。

日本マイクロソフト社長の平野氏

もちろん、Winodws 10 Mobileを捨て去る予定は、Nadella氏の手帳に書き込まれていないだろう。既にLumiaやSurfaceなどを扱っていたMicrosoft Devices Groupを、WindowsやWindows Phoneなどを扱うOperating Systems Groupに統合し、新たにWindows and Devices Groupを新設した。この部門再構築は"Windowsエコシステムに注力する"という意思の表れと言える。

阿久津良和(Cactus)