帯域制御には3つの要件が必要

通信の秘密の侵害を回避するため、帯域制御を実施するにあたっては利用者に対して「個別」かつ「明確」な同意を得ることが必要になってくる。今回、ドコモやKDDIは新規契約や契約変更時などの場合に、重要事項説明で同意を得たうえでデフォルトオンで実施している、と説明。

ただ、ネット上の意見を見ると、今回の「最適化」が実施されていることを知らない人も多い。個別かつ明確な同意がきちんと機能しているのか、というのも大きな問題点だ。

ソフトバンクは帯域制御を目的としているが、そうなるとガイドラインが指摘する「目的の正当性」「行為の必要性」「手段の相当性」の3点を満たす必要があるだろう。帯域制御を目的としないからといって、ドコモとKDDIがガイドラインに従う必要がないというわけではないが、ソフトバンクの場合は常態的に実施しているとみられ、混雑度を問わず実施しているとなると、この3点を満たすものであるかどうかは難しいように思える。

同社では、「利用者間の公平、電気通信役務の円滑な提供」を目的とし、「ネットワーク負荷をかける種別のデータに対して最適化処理を施す必要がある」「最適化の範囲も最適化前のデータと遜色ない範囲にとどまる」としており、「正当業務行為に該当する」とコメント。

適用範囲は、「ネットワーク状況により実施」とのみコメントしており、詳細は開示されなかった。ただ、これもガイドラインには「制御に該当する基準(中略)、制御の対象となる時間帯及び場所等といった事項について、(中略)周知しなければならない」とあり、疑問を感じる部分だ。

通信の秘密の侵害は、個別かつ明確な同意で回避しているとしても、ガイドラインに対する整合性を検討する必要はありそうだ。

その「個別」かつ「明確」な同意も、各社とも契約時の重要事項説明で周知しているという。例えばKDDIはLTEサービス開始時からあらかじめ取得している、と話しており、問題はないとの判断を示す。