ライバルはApple Music?

同様の音楽配信サービスとしては「Spotify」などがあり、今月末にはAppleの「Apple Music」もスタートする。また米Amazonも有料会員(Amazon Prime)向けに、自己ファイルアップロード無制限、楽曲聴き放題の「Amazon Music」を展開するなど、米国では有料・無料を問わず聴き放題系サービスは激戦区だ。

Googleがこのタイミングで無料サービスを提供してきた狙いとしては、もちろん有料サービスに移行するためのきっかけとして無料サービスに触れてもらうということもあるだろうが、1番大きいのは今月末に始まるApple Musicへの牽制だろう。実際、Apple MusicとGoogle Play Music All Accessは非常に似たサービスとなっている。

サービス名 Google Play Music
(無料版)
Google Play Music
All Access
Apple Music
月額料金 無料 9.99ドル 9.99ドル
アップロード容量 5万曲 5万曲 2万5000曲
アップロード可能
フォーマット
MP3、AAC、OGG
WMA、ALAC、FLAC
MP3、AAC、OGG
WMA、ALAC、FLAC
MP3、AAC、WAV
AIFF、MPEG-4
マッチング後
フォーマット
320kbps MP3 320kbps MP3 256kbps AAC
Webストリーミング -
聴き放題可能な
カタログ曲数
- 3,000万曲 3,000万曲以上
必要なアカウント Googleアカウント Googleアカウント Apple ID
(iTunesアカウント)
対応OS Win、Mac
Android、iOS
Win、Mac
Android、iOS
Win、Mac
iOS、Android(今秋から)
その他のデバイス Chromecast、Android TV Chromecast、Android TV AppleTV
最大利用デバイス数 10 10 10
ラジオサービス iTunes Radio/Beats 1

GoogleはiTunes Matchに対抗して保存可能な曲数を2倍に設定し、ファイルのアップロードだけなら無料にしている。最後のラジオサービスの部分が無料版Google Play Musicに追加されたわけだ。

Apple Musicは基本的に有料サービスだが、24時間放送のラジオサービス「Beats 1」と、「iTunes Radio」は無料で利用できる(iTunes Radioは広告付きサービスだが、iTunes Matchに加入していると広告をキャンセルできるため、Apple Musicユーザーも同様になると思われる)。

おそらくGoogleは、この部分でAppleに対して同様に無料で利用できるサービスを提供することで、ユーザーに対して存在感をアピールしたいのだろう。なお、無料版ではオフライン視聴機能やプレイリストの作成機能、楽曲数、曲のスキップ回数などに制限が加えられる。

スペックだけでみればApple Musicより2倍の容量を持ち、無料ユーザーでも曲をアップロードできるといった点で魅力的なGoogle Play Musicだが、現実的にアップロード曲数が2万5000曲を超えるユーザーが全体の中でそう多いとも考えにくく、今回のラジオ機能が、はたして有料サービス契約への有効なきっかけになるかどうかはわからない。

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サービス開始1週間前という、実にいやらしいタイミングでの発表してくるあたり、Apple Musicへの牽制としては、十分な役目を果たしているが、逆にこれで、Apple Musicへの注目度が再び上がるのではないだろうか。

ところで、日本ではGoogleの音楽配信自体がまだ始まっておらず、Google Play Storeも映画と電子書籍、アプリのみだ。AWAやLINE MUSICといった国内サービスはようやく始まったが、世界的なトップブランドであるSpotifyの日本展開もメドが立っていないなど、外資系サービスには参入が難しい土地柄だ。残念ながらGoogleのブランドを持ってしても、Google Play Musicの日本展開は当面、難しいのではないだろうか。それならそれで、クラウドサービスくらいは使わせてもらいたいところなのだが……。