Google+からPhotoサービス分離の狙い

PhotoサービスがGoogle+から独立し、無料アップロード分の解像度を向上させたり、ビデオを含めるといった部分は、おそらく、ディープラーニングのためだろう。Googleは、写真データをディープラーニングを使ったシステムで自動分類する仕組みを提供しているが、その精度を上げ、さらに多くの分類項目を追加するためには、もっと画像を集める必要がある。Photoアプリに組み込まれた画像の自動分類は、こうしたディープラーニングの成果だ。画像の解析能力を向上させると、ユーザーがアップロードした画像から得られる情報も多くなる。

現在のPhotoでは、食事の写真であるかどうかまでは判断できるが、さらに解析が進めば、メニューまで判定できるようになるかもしれないし、メニューや盛り付け、背景画像などからレストランも判定できるかもしれない。

Google Nowのアップデートについて

Google Nowのアップデートは、多分にWindowsのコルタナを意識しているような感じがある。Google Nowは、カードによる情報表示をベースに事前に情報を提案することを得意としている。これに対してコルタナは、もちろん提案もするが、ユーザーとの対話を重視しており、より「人工知能」的なのに対して、Google Nowは、「キャラクタ」を持たず音声認識は行うものの、検索語の入力手段の1つでしかない。

こうした事前の提案は、積極的にやりすぎると煩わしいし、なによりも自分が「見られている」感じがしてしまう。かといって、ユーザーがGoogle Nowを開いてカードを見るまで待っていてもユーザーはあまりメリットを感じてくれない。そこで投入されたのが「Now on Tap」だ。アプリの実行状態などコンテキストを理解し、最適なカードを表示する機能だ。

もちろん、Google Now自体の機能強化、使い勝手向上という面もあるが、多分にコルタナを意識しているところがある。マイクロソフトは、昨年ぐらいからさまざまな機能を強化してきている。たとえば、Bing Mapは単なるドライブルート検索だけでなく、現在では公共交通機関を使った経路検索も可能になった。これにあわせ、米国では、Windows Phone 8.1に搭載されたコルタナが道路の混雑状況を判断して、予定に間に合うかどうかまでを判断して通知してくれる。後発のコルタナは急速に先行していたGoogle Nowを追い上げている。

前述のPhotoにしても、マイクロソフトのOneDriveがほとんど無制限に近いストレージを提供する(現在は10テラバイトを提供)ことに呼応した部分もあるだろう。多くのユーザーにとって、大量のデータは、デジカメで撮影した画像やビデオであり、これらが大量にクラウド側に保存されると、ディープラーニングのサンプルとなる。