イラストを表示するタイミングも細かく設定

そして最後の工程についてだ。完成した方面案内看板のイラストは、道路ネットワーク情報と結びつけられ、どこで表示されるかということが設定される。例えば、画像62の方面案内看板の場合、靖国通りの下り車線において神保町交差点の手前にある進入点、交差点、そして交差点を渡った先のポイントの3点である。そして同じ方面案内看板のイラストでも、左折を示す白山通りを水道橋方向への矢印が赤いバージョンの場合は、交差点で左折した先に終了のポイントを設定する(画像64)。平川門方面へ向かう右折の場合も同様で、右折した先に終了のポイントを設定(画像65)。こうして、方面案内看板を用いて、ユーザーがどの方向へと向かっているかがわかるようになっているというわけだ。

画像64(左):靖国通りから神保町の交差点で白山通りへ左折。水道橋方面へと向かう場合の看板のイラストを設定。矢印が左折方向に赤くなっている。画像65(右):右折の設定。平川門へ向かう場合。3点の設定が必要で、靖国通り下り車線、神保町の交差点、右折して白山通りに入った先の終了ポイントとなる

このほか、誘導系の画像としては交差点の風景を再現した3D交差点画像や高速道路分岐画像などがあるわけだが、これらは方面名案内看板に比べるともっと複雑な3DCGになるので、CGそのものを作る工程は方面案内看板よりも若干手間がかかるという。ただし、道路ネットワークとの関連づけに関してはほぼ同じ手順が踏まれるので、その点では変わらないそうだ。

コア・データベースのアップデート、道路標識情報などの入力、歩行者用を含む道路ネットワークの整備、そして誘導系画像の整備が終わると、また別の部門において、ナビメーカーの注文に従ったフォーマッティング(メーカーが必要としない不必要なデータを除くといった作業)が行われ、データが渡されるというわけだ。

以上が、ゼンリンのデジタル地図データ作りの主立った流れだが、いかがだっただろうか? もちろんこれですべてというわけではないが、どのようにデジタル地図データが作られているのかが、大まかながらわかってもらえたことだろう。これからもしあなたがカーナビや地図案内アプリを利用する時は、ただ利用するだけではなく、ぜひどのような仕組みなのかをよく見て、またゼンリンのデータが使われているのかどうかも確かめつつ使ってみてほしい。また、もしカーナビを買い換えた時も、以前の機種から見て地図データがどれだけ進歩しているかといったことも比較してみてほしい。

なお、ゼンリンの取材記事はさらに続き、このあとはゼンリンが現在取り組んでいる最新技術やサービスについてお伝えする。ゲーム制作とも関係のある話なども出てくるので、ぜひ楽しみにしておいてほしい。