写真を見返す機会を提供することが使命

おもいでばこはなぜ生まれたのか? 新製品の紹介は、バッファロー おもいでばこプロジェクトのシニアプロダクトプロデューサー 根本将幸氏による、おもいでばこ誕生の背景から切り出された。

第1世代機「PD-100」がリリースされたのは、2011年11月8日のこと。当時、デジタルカメラやカメラ機能付き携帯電話の急速な普及により、大量の写真や動画が"撮りっぱなし"になり、整理されずに死蔵されがちだと話題になり始めていた。

撮影機器のマルチデバイス化が進む一方で、パソコンに代わる管理手段がユーザーに十分に提供されていないと分析した同社は、テレビでの鑑賞に特化したデジタルフォトアルバム(初代おもいでばこ)を投入。翌年には第2世代機の「PD-100S」シリーズを発表する。いずれも、分かりやすいコンセプトとシンプルな操作性が評価され、パソコンが苦手なママやシニアに支持された。

第3世代機となる「PD-100S/W」シリーズを2013年にリリースするが、これが思わぬ苦戦となった。新たにスマートフォン・タブレットからのアクセスに対応、デジタルカメラで撮影した写真を手もとのスマートフォンで簡単にシェアできるようにし、「家中場所を問わない写真体験」を打ち出したのだが、ユーザーの裾野は思うように広がらなかったのだ

第1世代機「PD-100」は分かりやすいコンセプトで注目を集めた

第2世代機「PD-100S」シリーズは、スマホ写真の取り込みやプリンター出力に対応し、外付けによりWi-Fiにも対応した

第3世代機「PD-100S/W」シリーズでは、リモコンのデザインも一新して、インタフェースの改善や表示の高速化まで図った

この苦戦をどう分析し、対策して、第4世代機の開発に取り組んだのか。根本氏に代わり登壇した、おもいでばこプロジェクト プロモーション企画の竹内優氏は、「苦戦の原因はターゲットに上手くリーチできなかったことだ」と語る。おもいでばこは、"ノンPCユーザー向けのかんたん製品"がコンセプトであったため、パソコンやITの最新情報に敏感なイノベーターやアーリーアダプターからは「素人さん向けソリューション」と受け取られ、「自分には関係ない製品」と思われてしまった。

同社では、初心者向けの製品というイメージの払拭をマーケティングの課題と捉え、「写真を大切にする全ての方のスマホ時代の写真管理方法」へと舵を切る。この背景には、従来機の愛用者へのリサーチがあった。

愛用者達はパソコンに詳しいか疎いかに関係なく、写真を見返して楽しんでいた。産まれたばかりの頃の写真を成長した我が子と眺める夫婦や、撮りためた紙焼き写真をデジタル化して取り込んで楽しむシニアがいた。さらに、ツイッターには"おもいでばこタグ"ができていて、そこで盛り上がっているママたちがいた。実際にはパソコンの知識の有無はまったく関係なかったのだ。

かくして同社は、「おもいでばこの使命はあらゆる方に写真を見返す機会を提供すること」だと再認識して、新機種「PD-1000」シリーズを開発する。

スマホ世代のパパ・ママ達がブログでおもいでばこを紹介。実際に利用する姿には強い説得力がある

PFUと提携して紙焼き写真をスキャナで取り込むソリューションを展開。テレビの大画面で思い出の写真が見られるとシニアに受けた

ツイッターでおもいでばこの使い勝手をつぶやくママが急増