新年度を迎えるにあたり、引越しを予定している人も多いだろう。引越し先でインターネットをすぐに利用したいなら、モバイルルーターがおすすめだ。固定回線のような開通工事が不要で簡単に使い始めることができるのはもちろん、自宅でも外出先でもインターネットが利用でき、なおかつ料金も手頃なのが魅力だ。

では現行のサービスを比較した場合、どの会社のモバイル通信サービスが最もお得に利用できるだろうか? そこで本稿では、各通信事業者が提供するモバイルルーター向けサービスの内容を比較し、コストパフォーマンスを検証していきたい。

WiMAXは高速通信が月間データ通信量 制限なしで利用可能! 価格も月額4,380円と手ごろ

まずは、新料金プランを発表したばかりのUQコミュニケーションズの提供サービスから紹介していく。2月20日にサービスを開始した「UQ Flat ツープラス ギガ放題」では、月額4,380円で月間データ通信量の制限がなく、安心して存分に使える。しかも通信速度は下り最大220Mbpsを実現している。

他社では、これほどの高速通信が月間制限なしで利用できるプランは提供されていない。このため、このギガ放題プランはWiMAXの大きな魅力となっている。

なお同社の料金プランは、この「ギガ放題」と7GBまで使える「UQ Flatツープラス」を1カ月単位で変更できる仕様だ。よって利用者は、毎月使うデータ通信量を確認しつつ、自分に最適な料金プランへ切り替えることも可能だ。

UQコミュニケーションズが提供する「Speed Wi-Fi NEXT W01」(ファーウェイ製)

下り最大220Mbpsに対応するモバイルルーターとして今春発売されたのが、WiMAX 2+/ au 4G LTE対応の「Speed Wi-Fi NEXT W01」(ファーウェイ製)、およびWiMAX 2+/ WiMAX対応の「Speed Wi-Fi NEXT WX01」(NECプラットフォームズ製)の2機種。

ドコモでは「PREMIUM 4G」のエリアが限られ、月間データ通信量は制限あり

NTTドコモは、モバイルルーターの新製品として、2015年2月に「Wi-Fi STATION HW-02G」(ファーウェイ製)を発売。3月には「Wi-Fi STATION L-01G」(LG製)の発売を予定している。両製品は、ドコモが「PREMIUM 4G」として提供する LTE-Advancedに対応した製品で、下り最大225Mbpsの通信速度を実現する。ただし、「PREMIUM 4G」は、3月27日より提供開始予定であり、本稿執筆時点では未提供。提供後も、対応エリアは一部地域のみとなる。ちなみにエリアが拡大されるまで、東名阪の一部エリアでは下り最大150Mbps、それ以外のエリアでは下り最大37.5~112.5Mbpsとなる。

NTTドコモが提供する「Wi-Fi STATION HW-02G」(ファーウェイ製)

契約に際しては、料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」を適用する。モバイルルーター単独で契約する場合、基本プランの「データプラン」(1,200円/月)、インターネット接続サービスの「moperaUシンプル」(200円/月)に各パケットパックの料金が加算される仕様。例えば、月間5GBのプランなら合計6,400円、月間8GBなら8,100円となる。いずれのプランでも、設定されたデータ通信量を超過すると速度制限が行われるため、通信速度が128kbpsまで落ちる。制限を解除するには1GB毎に1,000円の追加料金が必要になる。

ソフトバンクは、価格は手ごろだが制限あり。ワイモバイルには都度手続きのデメリットも

ソフトバンクモバイルは、下り最大165MbpsのAXGP方式による「SoftBank 4G」と、下り最大112.5Mbpsの「SoftBank 4G LTE」を組み合わせた高速通信サービス「Hybrid 4G LTE」を提供中。対応するモバイルルーターとして「Pocket WiFi 303ZT」(ZTE製)を販売している。

利用料は、2年契約の「4G/LTEデータし放題フラット」の場合、特別キャンペーンを適用すれば月額3,696円となる。同プランでは月間データ通信量が7GBを超えた場合、通信速度が制限され、制限を解除するには1GB毎に1,000円の追加料金が必要になる。

なお、ワイモバイルでも「Y!mobile」ブランドでサービスを提供している。対応ルーターにはソフトバンクの303ZTの姉妹機となる「Pocket WiFi 305ZT」(ZTE製)を用意。2年契約の「Pocket WiFiプラン+」なら、「おトク割」の適用でソフトバンクと同様の月額3,696円で利用できる。なお、キャンペーン適用により、7GB超過後の速度制限を解除する料金(500MB毎に500円)が2年間無料になるため、月間データ通信量は実質的に制限なしとなる。ただし、超過後、500MB毎に速度制限を解除する手続きが都度必要である点は面倒であり、"使い放題"とはややイメージが異なると言えるだろう。

ワイモバイルが提供する「Pocket WiFi 305ZT」

ソフトバンクの「303ZT」もワイモバイルの「305ZT」も下り最大165Mbpsに対応しているが、本稿執筆現在、提供エリアは一部の地域に限られる。

各社の主要サービス内容まとめ ※拡大画像はこちら

各社の主要サービス内容を表にまとめ、まず気になるのがWiMAX 2+の「速さ」と「月間データ通信量に制限がない」という特長だ。既述の通り、NTTドコモでは「PREMIUM 4G」のサービスが始まらない限り、下り最大225Mbpsの通信速度を実現できない。これに対し、UQコミュニケーションズのWiMAX 2+では現行のサービスのままで下り最大220Mbpsが実現できる。そしてやはり、データ通信容量の制限がない、というメリットは非常に大きい。引越先で新生活を迎える人にとっては、自宅でも外出先でも安心して存分に使えて、固定回線の代わりにもなるモバイルルーターは、賢い選択肢と言えるかもしれない。

ちなみにWiMAX 2+の利用エリアに関しては、2015年春に全国のWiMAXエリアとほぼ同等程度まで拡大する予定。au 4G LTEは2014年3月の時点ですでに人口カバー率99%に到達している。住まいの地域に関係なく、日本全国で快適な通信が利用できそうだ。

WiMAXの「UQ Flat ツープラス ギガ放題」と比較すると、ドコモ、ソフトバンクのプランはおとなしい印象。もっとも、「利用したいキャリアサービスがある」「他の端末で使用しているパケットをシェアしたい」などの理由で選ぶケースはあるかもしれない。ワイモバイルの場合、月間データ通信量が7GBを超えると、500MB毎に制限を解除する手続きが発生するため、これを手間に感じる方もいるだろう。というわけで、現行のモバイルルーター比較では、安心して存分に使えるWiMAXの「UQ Flat ツープラス ギガ放題」がイチオシということになりそうだ。