Apple Watchを身につける生活、スーパーモデルも登場

Apple Watchについては、最初に「時計機能」「コミュニケーション機能」「健康・フィットネス機能」の3点からApple Watchがどのように人々の生活を変えるかを説明した。

最後にこの日の主役、Apple Watchが登場!

時計として正確に時間を刻むにはもちろんだが、カレンダーや連絡先と連係して効率的に時間を管理できるのがスマートウォッチである。メッセージ、天気、次のミーティング、株価、これから向かう場所への地図など、時間の過ごし方や必要としている情報はユーザーごとに異なる。Apple Watchは多彩なウォッチフェイスでユーザーのあらゆるニーズに応える。ユーザーが日々の生活をより快適にコントロールできるようにするツールである。

Apple Watchを組み合わせると、メッセージやメールの送受信、電話といったiPhoneを使ったコミュニケーションがもっと簡単で便利なものになる。常に身につけているから大切な連絡にすぐに気づける。絵文字、ボイスメッセージなど使ってApple Watchからでもすばやくメッセージを送れるし、Digital Touch機能を使えば、指で描いたスケッチ、タップ、心拍などでも気持ちを表現できる。もしApple Watchで対応しきれないやり取りなら、iPhoneでコミュニケーションを継続できる。

2本の指を画面に押し当てると、心拍センサーが心拍数を読み取って送信する「ハートビート」、"胸の高鳴り"を直接的に表現できる

健康・フィットネスでは、モデルのクリスティー・ターリントンがマラソンのトレーニングにApple Watchを活用してきた経験を紹介した。しかし、Apple Watchが役立つのはスポーツやトレーニングだけではない。普段の生活の中にも健康を維持するためのアクティビティを取り入れられる。例えば、座り続けるのは健康を害すると言われるが、1日にどのくらい座っているのか正確に把握するのは難しい。Apple Watchは、立って動いている時間、階段の上り下りなど、健康に関わるデータを日々の生活から逃さず記録してくれる。また、それらをひと目で把握できるように視覚化して表示する。

クリスティー・ターリントン・バーンズが登場。Appleの公式サイトでApple Watchと共にロンドンマラソンを目指す手記の連載が始まった

毎日の身体の動きを、ユーザーがひと目で把握できるシンプルなグラフで表現するアクティビティアプリ

Apple Watch部分の後半はKevin Lynch氏(テクノロジー担当バイスプレジデント)が、標準アプリやサードパーティのアプリのデモを披露した。Siriに天気を聞き、Apple Payで支払い、WeChatでメッセージ、Uberアプリを使ってライドシェアを探し、Alarm.comのアプリでリモートからガレージのドアをコントロールして見せた。標準アプリと有力開発者のアプリを中心としたデモだったが、それだけでもApple Watchで"できること"の豊富さが伝わってきた。これらにサードパーティのアプリがさらに加わるのだ。可能性は大きい。

昨年9月のApple Watch発表の時と同じように、Kevin Lynch氏がアプリデモを披露

Apple Pay、デジタルクラウンの下のボタンを2度押し、Apple Watchを読み取り機にかざすだけで支払いが完了する

Apple WatchからUberのライドシェアをリクエスト

そして最後にApple Watchシリーズの価格と発売日を発表した。Apple Watch Sportは38ミリが349ドル、42ミリが399ドル。Apple Watchは38ミリが549ドルから1,049ドル。42ミリは599ドルから1,099ドル。10,000ドルを超えるApple Watch Editonについては、価格を示さず「特別な存在」であることを強調した。

「使い方によっては数時間で残量不足になるのでは?」と議論となっているバッテリーの持ちについては、最大18時間、フル充電で1日の使用が可能であると説明

この日の基調講演を一言で表すと「近未来」だ。USB-Cポート1つしか持たない新しいMacBookは、不便で非力と言われるかもしれない。でも、高速なWi-Fi環境の下で、iPhoneやApple TVなどとMacBookが連係する便利な未来も想像できる。クラウドをハブとする時代のPCとして見たら、新しいMacBookは従来のMacBookよりも自由で、そして新たなユーザー体験をもたらしてくれそうだ。Apple Watchについても、スペックに不明な点が多く、実用性に対する疑問符をぬぐい去れなかった。実際に使ってみると、便利さと不便さが共存するようなデバイスかもしれない。でも、多少の困難をいとわずに近未来の便利さをいち早く体験してみたいと思うのがApple好きの心理である。初代iPhoneも携帯電話としては非常に不便なデバイスだったが、近未来を体験できたから人々は飛びついた。それを思い出させるキーノートだった。イベントの招待状には、夏時間に合わせて時計を1時間進めることを意味する「Spring Forward」というメッセージが付けられていた。Apple Watchイベントだから時計を連想させる言葉を選んだと思ったが、近未来に時間を進めるイベントというのが真意だったのかもしれない。