しかし、もっともインパクトがあったのはポータブルアンプのPHA-3だ。これは、その名前通り3世代目の製品だ。

ウォークマン ZX2にPHA-3を接続して聞けば正直、たいていの人間なら「ものの10秒で違いがわかる」ほど、ZX2単体と比較して音質が向上していると感じることだろう。ちなみに、

「オレなら0.001秒」

宇宙刑事ギャバンが蒸着するぐらいの時間で判断がつく。なお、ここで記載した時間は音質の違いのインパクトから感覚的に導かれた数値で、地球人類が一般的に使う時間とは異なる。それほどに、この違いにはインパクトがあった。

ZX2よりも存在感がある大きさのPHA-3。音のインパクトも絶大

さて、PHA-3では圧倒的に音の存在感、コントラストが増し、しかも精緻な音になっているのだ。ZX2をもってしても単体再生では聞きとりにくい微妙な音の表現もPHA-3を介せば明確に把握できそうだ。

これには、DACにESS社のES9018を搭載しているおかげもあるだろう。このチップはハイエンド機器で定番的に使われているものだ。

ちなみに、PHA-3はバランス出力に対応しており、バランス入力に対応した機器にL/Rを分けてバランス接続すると、一層、音の精緻さが増す。ちなみに、MDR-Z7もXBA-Z5もバランス入力に対応しており、PHA-3とバランス接続することで音の独立性や繊細な表現力がより増しているのを実感した。現在、PHA-3は実売で92,000円程度(税別)のようだが、それだけの価値はありそうだ。

以前、ソニーに遊びに行って、ZX2とZX1の比較試聴をしたとき、ソニーのオーディオ開発の人が「ZX2は音がよくなったけど、PHA-3も買ってほしいんですよねー」と言っていた。そのときは内心、「抱き合わせみたいにセコい商売するなよ」と思っていたが、実際の音を聴いた今はオレも「PHA-3も買って、この音を聞いてほしい」と思っている。

ハイレゾで高音質を楽しみたい人にオススメしたい、まさにヤヴァイデバイスだ。

入出力は物理スイッチで切り替えられる

バランス出力も可能なPHA-3

マイナビベアとPHA-3とZX2の音について語り合うオレ

ZX2の価値は?

今回試聴してみて、ウォークマン ZX2はまさに、ZX1から大きな進化をした高音質プレイヤーであることが再確認できた。その意味ではZX1を持っている人にもZX2をオススメしたい感じだ。また、ポータブルアンプのPHA-3も予想以上によかった。

今回、ソニーはなかなかハイレゾオーディオ市場に本気で、いいモノを作っていると感じることができたのがうれしかった。無人島に行くのに一つだけ何か持って行けるとしたら、今のオレはウォークマン ZX2を選ぶかもしれない。