2月6日、都内にてキヤノンのデジタルカメラ新製品発表会が行われた。今回発表されたのは、50.6メガの圧倒的高画素数を誇るフルサイズ機「EOS 5Ds」をはじめ、デジタルカメラだけでも同社史上最多数となる全13機種。加えて、EFレンズ1本と新しい映像ターミナル機器も発表され、タッチ&トライコーナーに体験機がずらりと並ぶ、異例といえる大規模の発表会となった。

今回発表された新製品

2015年は一眼レフ復調の兆し!?

キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長 川崎 正己氏

ステージには、キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長の川崎 正己氏が登壇。デジタルカメラの「国内市場動向と新製品導入の狙い」についてスピーチを行った。川崎氏によれば、2013年後半から2014年3月までは消費税増税前の駆け込み需要もあって好調に推移していたものの、4月(消費税増税後)以降の反動が長引き、2014年通年では181万台の出荷にとどまったとのこと。

レンズ交換式カメラについては、2015年の国内出荷数は200万台に達する(対前年比約11%増)と見込む。その根拠として、川崎氏は「消費者の購入意欲および写真撮影の意欲が高いこと」を挙げる。同社の意識調査によれば、ユーザーの購入意向が製品保有率を上回っており、このことから、レンズ交換式カメラの国内市場は引き続き拡大するとみている。

10月に発売された「EOS 7D Mark II」の販売がきわめて好調なことも、キヤノンが市場動向をポジティブに捉えられる理由のひとつであることは想像に難くない。「発売前には初代7D発売時のおよそ3倍のご予約をいただきました。これは歴代EOSで最多のオーダー数です。発売後も一眼レフの販売台数ランキングで常にトップ10に入るなど、20万円以上の高額モデルにもかかわらず大変好調に売れています」(川崎氏)。7D Mark IIの成功には、ジャンル別マーケィングも奏功したという。

「EOSを使っている人が着実に増えている」と語る川崎氏。7D Mark IIに続き、今回発表された新製品もまた新たな写真ファン、新たなキヤノンファンを開拓するための大きなステップになると自信を見せた。

2015年は再びレンズ交換式カメラの国内市場が拡大傾向へ移ると予想。一眼レフおよびミラーレス機は購入意向率が個人保有率を上回っている

大ヒット商品となったEOS 7D Mark II。発売前予約数は、初代7Dの3倍、EOS史上最高となった

一方、コンパクトカメラの国内出荷数は2014年の398万台から、2015年には350万台に減少すると予測。ただし「台数は減少しているものの、高付加価値モデルが伸びているため、平均単価は上昇している」(川崎氏)とも。実際に、昨年発売された1.0型センサーを持つ高級コンパクト「PowerShot G7 X」や光学65倍ズームのグリップ式モデルや光学30倍ズームのコンパクトモデルを擁する「PowerShot SX」シリーズの販売が好調とのことだ。

キヤノンはコンパクトカメラ各カテゴリーおよび全体でナンバーワンのシェアを持ち、レンズ交換式一眼レフにおいても過半数のシェアを持っている。そんなキヤノンが虎視眈々と狙うのは、ミラーレス市場だ。昨年、同社は「ミラーレス機の新製品を発売していない」にも関わらず、前年以上のシェア率となった。今回の新製品「EOS M3」投入でさらにユーザー、流通への存在感を高め、ミラーレス市場の牽引役を担う構えだ。

コンパクト機は台数こそ減っているが、高付加価値モデルの好調により平均単価は上昇

高級モデルと高倍率ズームモデルの伸びが目覚ましい

キヤノンはあらゆるカテゴリーでシェアナンバーワンを誇る

一眼レフカメラでは55%のシェア。ミラーレス市場でのシェア拡大にも期待

今回の新製品も含め、「EOS ALL STARS 2015」としてユーザーにアピールする

光っているのが今回の新製品。製品ピラミッドにおけるそれぞれの立ち位置がわかる