ダイソンのAir Multiplierテクノロジー

もう1つの特徴は、ミストを送り届ける能力。ここで「Air Multiplier(エアマルチプライヤー)」テクノロジーと呼ばれる、ダイソンがファンで長年培ってきた技術が用いられているのだ。"ループ"と呼ばれる上部の円形パーツからミストが飛び出る様子は肉眼でもはっきり確認できる。本体と2mから2.5m離れた場所でもはっきりと風を感じるが、難点は温風ではなく冷たい空気が吹き出てくること。気温の低い冬場に使う家電製品としてはやや考えものであると筆者は思う。しかし、置き場所を変えるなど試行錯誤した結果、壁に向けても部屋を均一に加湿してくれることが確認できたので、人がいない方向に向けて使えば問題ない。

ダイソン加湿器「Dyson Hygienic Mist AM10」ループの周縁部からミストが放出される様子

加湿運転時、ループの周縁部から細かなミストが勢いよく放出される様子が確認できる

実際に湿度を計測してみた

ちなみに本製品の適用畳数は8畳程度となっている(木造住宅、鉄筋コンクリート建て、部屋の向きなどで異なる)。鉄筋コンクリート建てで気密性の高いマンションである筆者宅の北側に位置する7畳程度の寝室で、晴れて空気が乾燥している室温22.7度・湿度33%の日中、「湿度60%・最大風量」に設定して加湿運転を行った。すると15分ほどで湿度40%まで上がり、30分後に50%、1時間後には58%まで上昇した。

一方、南向きで13畳ほどのLDKで、日中の室温23.3度・湿度28%という状態で同条件の加湿運転も行ってみた。適用畳数を超えているのと極度の乾燥状態にはさすがに太刀打ちできず、1時間経っても33%までしか上昇しなかった。しかし、日没後の夕方に、室温20度・湿度33%の状態から加湿運転を行ったところ、1時間後には40%まで、最高で48%まで加湿できた。

ダイソン加湿器「Dyson Hygienic Mist AM10」の本体上部に接着するリモコン

扇風機やヒーターと同様、リモコンはマグネットで本体上部に接着できるので使わない時の収納先が定まり、紛失や行方不明のおそれが少ない

インテリジェントサーモスタット機能で寝ている間も安心

室温と湿度を感知するインテリジェントサーモスタット機能を搭載。設定された湿度を超えると自動で運転を停止する。加湿しすぎは結露の原因にもなるので、特に就寝中には助かる機能だ。筆者宅の寝室は夜間、45%前後の湿度が保たれているため、あっという間に加湿しすぎになってしまう。しかしサーモスタット機能により自動で運転を停止してくれるので、加湿のしすぎと無駄な電力消費を防いでくれるので大変ありがたかった。もちろん、スリープタイマー機能もあり、設定した時間で運転を停止することも可能だ。

気になる運転音は

運転音については、最大57db、最少36dbとなっている(加湿モードの場合)。これは扇風機の場合とほぼ同等で、最大風量だとかなりうるさい。現実的には10段階の風量設定のうち「4」あたりが許容範囲といったところ。適用畳数を満たしているならば、急いで加湿したい場合を除いてその程度で大丈夫だろう。最小風量であれば、ファンのモーター音よりもむしろポコポコと立てる水の音が聞こえるぐらい静かなので、就寝時も気にならない程度だ。

ダイソン加湿器「Dyson Hygienic Mist AM10」のケーブル

ケーブルは本体から外れるので、持ち運びや手入れもしやすい

消費電力の実測値は

消費電力については、スペック表にある最小35W、最大55Wとワット計での実測値もほぼ相違がなかった。スイッチを入れて最初の3分間で行われる除菌運転の際は35W前後、風量設定が1~5まではおよそ32~35Wの範囲内に収まり、サーモスタット機能で運転を待機している際は9W前後だった。