掃除機、扇風機、ヒーターと、独自の技術と発想、デザイン性で常識を覆す製品を市場に届け続けているダイソン。そんなダイソンが、同社初となる加湿器「Dyson Hygienic Mist (ダイソン ハイジェニック ミスト) AM10」を発売した。見た目はセンセーショナルに市場デビューを飾った"羽根のない扇風機"と極めて類似している。しかし、似ているのはこのデザインに固執しているというわけではなく、ファン(扇風機)で培った技術を加湿にも最大限活かすためである。今回はそんな注目の新製品の試用レポートと使ってみた実感をまとめてみたい。

除菌機能はUltraviolet Cleanseテクノロジーで一線を画す

メーカーが謳っている本製品の独自性は除菌機能だ。本体に水を注入することで湿度を上げる加湿器では、従来から衛生面に弱点があった。というのも、フィルターなどの内部や水自体にカビや細菌が発生しやすいのだ。加湿器の中でも主流となっている"超音波式"や"気化式"と呼ばれる製品の場合、加湿時にカビや細菌をそのまま空気中に放出してしまうという懸念がある。

ダイソン初の加湿器「Dyson Hygienic Mist AM10」 横から見たダイソン加湿器「Dyson Hygienic Mist AM10」

ダイソン初の加湿器「Dyson Hygienic Mist AM10」。写真はアイアン/サテンブルー。そのほかホワイト/シルバーをラインナップする

横から見たところ。"羽根のない扇風機"と似たデザインだが、土台に給水用のタンクがあるため、胴回りが太く、ぽってりとした愛らしいデザインだ

"ヒーター式"と呼ばれるタイプであれば、水を加熱して除菌できる。しかし、ヒーターを使うぶん、消費電力が高くランニングコストの面でデメリットがある。こうしたジレンマに対して、最近では"ハイブリッド式"と呼ばれる製品も登場している。ハイブリッド式は、いったん加熱した水を消費電力の少ない超音波や気化式の仕組みで拡散するというもの。今回のダイソンの新製品は、従来のどのタイプとも一線を画している。

タイプ的には微細なミストを超音波で振動させて拡散させる超音波型に属するが、衛生面での問題を「Ultraviolet Cleanse(ウルトラバイオレットクレンズ)」テクノロジーという独自の技術でクリアしている。本体内のすべての水にUV-Cライトを直接照射することで99.9%の除菌を行うという仕組み。また、バクテリアの温床となりやすいスポンジやフィルターもすべて排除した。

お手入れは比較的簡単

スポンジやフィルターがないぶん、手入れも比較的簡単。分解できる部品の構造も単純で、カルキ対策として月1回の頻度で給水タンクを中心にクエン酸洗浄を行えばよい。残念ながら、除菌の効果を各家庭で調べることは難しいため、あくまでメーカーの謳い文句をそのまま信じるしかない。しかし、目に見える形で消費電力や手入れの面でメリットがあるのはありがたいポイントだ。

ダイソン加湿器「Dyson Hygienic Mist AM10」の給水タンクと本体 ダイソン加湿器「Dyson Hygienic Mist AM10」の本体

ループと呼ばれる上部の送風ユニットを外すと、さらに給水タンク(右)と、本体(左)に分解できる

本体には、圧電変換機やUV-Cエミッター、LEDディスプレーなどの電力系統の部品が搭載されている