説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhoneで撮影した動画をケーブルなしでiPadにコピーできる?」という質問に答えます。

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iPhoneとiPadの両方がiOS 8以降にグレードアップ済であれば、ワイヤレスでビデオを送受信できます。強化されたデータ転送機能「AirDrop」を利用すれば、クラウドを経由せず1対1(ピア・ツー・ピア)で直接通信できるので、インターネット回線も必要ありません。ただし、iPhoneとiPadの両方がBluetooth 4.0(Bluetooth LE)に対応していること、通信時に無線LANとBluetoothの両方をオンにしておく必要があります。

AirDropでは、Bluetooth LEと無線LANを組み合わせることで、低消費電力と高速通信という相反する機能を実現しています。つねにオンにしていてもごくわずかな電力しか消費しないBluetooth LEを利用してファイル送信先デバイスとの接続を確立し、その後通信経路を無線LANに引き継ぎます。Bluetooth LEではわずか数メガバイトのファイルを転送するにも数十秒かかりますが、無線LANであれば数秒で完了します。

動画はファイルサイズが巨大で、数百メガバイトあることも珍しくありません。Bluetooth LEだけでファイル転送すれば気が遠くなるほどの時間がかかりますが、無線LANの速度があれば数十秒から数分で完了します。AirDropはワイヤレスなうえ、一連のファイル転送手続きを全自動で処理してくれるので、対象がビデオであっても負担を感じないことでしょう。

AirDropには無線LANを利用しますが、いわゆるWi-Fiアクセスポイントは必要ありません。Bluetooth LEで通信経路を確立したあとは、端末間で直接通信を行うからです。だから、「iPhoneで撮影した動画をケーブルなしでiPadにコピーできるか」という質問には「YES」、AirDrop対応端末であれば屋内/屋外を問わずワイヤレスで転送できます、と答えることが妥当です。

AirDropに対応するiOSデバイス間であれば、場所を問わずワイヤレスで高速にファイル転送できます

iPhoneで撮影した動画も、AirDropを使えばかんたん&高速にiPadへ転送できます