タッチパッドジェスチャーを可能にする「Snap Assist」

本ビルドは昨日のTech Ed 2014 Barcelonaで披露した「Snap Assist」も当然サポートしている。本機能の実装はまだ必要最小限ながらも、デモンストレーション動画と同じく、高精度タッチパッド上で3本の指を上げれば「Task View」が起動。下げればデスクトップが現れる。また、左右にフリックするとアプリケーションの切り替え、ゆっくりと左右に移動すると[Alt]+[Tab]キーで起動するアプリケーションの切り替えが可能になる。

たとえば高精度タッチパッド上で3本の指を上になぞると「Task View」機能が起動する

個人的には、3本の指をそのまま高精度タッチパッドにタップするとスタートメニューが現れ、検索ボックスにカーソルが移動する機能だ。正直なところ前述のデモンストレーションを視聴した限り、Mac OS Xから拝借した機能という印象は拭いきれなかったが、人間工学に沿ったジェスチャーを追加することでSnap Assistは魅力的な機能になりそうだ。

その他の新機能で気になったのは、エクスプローラーの「Home」セクションにピン留めする機能が加わった点である。フォルダーを右クリックするとコンテキストメニューに<Pin to home>が新たに加わり、選択することで「Frequent folders(よく使うフォルダー)」にリンクが加わる仕組みだ。

コンテキストメニューの「Pin to home」を選択することで、エクスプローラーの「Home」セクションにリンクを追加できる

地味なところではMKV(Matroska Video)形式のネイティブサポートも特徴の1つ。同形式はコンテナであるため、サポート自体は難しくなかったはずだが、Aul氏はXboxのMKV形式対応が影響をもたらしたと解説している。

MKV形式をネイティブサポートしているため、動画のサムネイルがアイコンに加わり、各種メディアプレーヤーで再生可能になった

さらに同氏はH.265 HEVCのサポートを合わせて発表した。改めて述べるまでもなく、同圧縮形式はH.264/MPEG-4 AVCの後続形式にあたり、PC上でエンコードを可能にするツールも出回り始めている。まだまだ快適にエンコードできるとは言いがたいものの、Windows 10におけるH.265のネイティブサポートは注目に値するはずだ。

Internet Explorerにも変化が生じている。右上に「Let us know what you think(ご意見をお聞かせください)」というメッセージを発するボタンが加わり、Webページが正しく表示されているか報告を行うというものだ。そもそも次期Internet Explorerは、"エッジレンダリングエンジン"という新たなWeb描画エンジンの開発にあたっており、エンジンのブラッシュアップやバグフィックスを目指している。機会を見て紹介するが、興味をお持ちの方はこちらのブログ(英文)をご覧頂きたい。

Internet Explorerの右上に加わったフィードバックボタン

WebページのURLや動作(問題)を選択するラジオボタン、そしてテキストボックスを用意し、新エンジンによるWebページ描画のフィードバックを求めている

最後は「OneDrive」。まずは下図をご覧頂きたい。こちらはWindows 8.1のOneDriveアイコンを開いたものだが、Windows 7のそれと違って最小限の設定項目しか並んでいない。そしてその次の画像がWindows 10テクニカルプレビューのOneDriveダイアログだ。よくよく見ればWindows 7と同じである(ちなみにビルド番号は、Windows 7が17.3.1229.0918、Windows 10 TPは17.3.4517.1013。Windows 8はOSのビルド番号と連動するので割愛する)。

Windows 8.1のOneDriveダイアログ。設定項目は非常に少ない

Windows 10テクニカルプレビューの同ダイアログ。Windows 7と同じ設定項目が並んでいる

この点についてAul氏は「OneDriveの同期方法を変更した」と説明。内容を意訳すると、Windows 8.1はオンライン/オフラインといった物理的な相違が存在するが、この点が分かりにくいという多くのフィードバックを受け取ったという。そのため、エクスプローラーで表示したファイルはオフライン利用可能にすることを既定とするそうだ。ダイアログを見比べる限り、現時点で大きな変化は生じていないが、今後OneDriveの振る舞いが変化する可能性は高い。

この他にもファイルやサブフォルダーを含むフォルダーのデザインが変化するなど、目に付く箇所は少なくないが、既にWindows 10テクニカルプレビューをお使いのユーザーはいくつか注意しなければならない。Aul氏の説明によれば、本ビルドは「我々はサインイン時やロック解除時に、ディスプレイがブラックアウトする問題を把握している。現時点ではハードリブート(シャットダウンした状態からの起動)で回避可能」「(Windows Serverなどで使用可能な)DFS(分散ファイルシステム)上の共有フォルダーへアクセスできない」という大きな問題が発生している。これらは近々に修正プログラムを提供するようだ。

その他にも一部のシステムでデバイスドライバーの20GB以上の容量が必要と誤認するケースや、Skypeの着信が発生すると音楽再生が停止するトラブル、Lyncによる画面共有機能が正常に動作しない場合あるといった問題が確認されている。あくまでもWindows 10テクニカルプレビューは開発途上版のため、これら問題が存在することを理解して試してほしい。

阿久津良和(Cactus)

前回の記事はこちら
・短期集中連載「Windows 10」テクニカルプレビューを試す(第8回) - ビルド9860で搭載された「Action Center」
http://news.mynavi.jp/articles/2014/10/23/windows10/