セグメント別業績を細かくみていくと、まずMC分野においては、前述の営業権の減損損失1,760億円を計上したことで、営業損益が大幅に悪化した。ただし、売上高についても7月時点の見通しより100億円下方修正となっている。これは、主に中国市場での販売台数減少によるもので、2014年度通期での販売台数見通しは7月時点で4,300万台だったものが、今回4,100万台とされた。

競争激化が続く中国市場についてソニーでは展開を大幅縮小する方針を示しているが、この点について吉田氏は「大きな市場である中国について、大幅縮小して良いのかという議論は社内でもあった」と述べるとともに、将来的に再注力することを否定するものではないとコメント。

なお、説明会には11月16日付でソニーモバイルコミュニケーションズの代表取締役社長兼CEOに就任する十時裕樹氏も出席。ソニー代表執行役兼取締役CEOである平井一夫社長から十時氏が課されたミッションは、「商品力の強化と収益力の改善だ」という。中国市場について、現状は中国専用モデルの開発を凍結しSIMフリーモデルなどで展開する方針だが、機会を窺ってまた注力市場とする可能性もあることに言及した。

【左】モバイル・コミュニケーション分野の業績 【右】11月16日付でソニーモバイルコミュニケーションズの代表取締役社長兼CEOに就任する十時裕樹氏

テレビは2003年以来となる2四半期続けての黒字化

続いて、ホームエンタテインメント&サウンド分野についての説明も行われた。同分野は、エレクトロニクス事業の収益改善に向けてキーとなるテレビ事業が含まれている。テレビ事業単独での売上高は1,997億円、営業利益は49億円となっており、売上高2,050億円、営業利益79億円を計上した第1四半期に続いて黒字となった。2四半期続けての黒字は2003年以来といい、吉田氏は「製造コスト、宣伝広告費の削減に加えて、販売店の固定費削減が大きく寄与した」と収益構造改善に向けた取り組みが成功したことを強調。数を追う路線から「売れないところには投入しない」という方針も黒字化を促進した。吉田氏は「10年続けて(通期で)赤字だった事業なので、引き続き慎重に見守る必要がある」と、通期での黒字化達成に向けて注意深い舵取りが必要との姿勢を示した。

【左】ホームエンタテインメント&サウンド分野の業績 【右】テレビ事業の売上高及び営業利益の推移

2014年度通期の見通しは、7兆8,000億円の売上高及び営業収入、1,400億円の営業利益、1,300億円の税引前利益を見込み、事業構造改革費用の計上などにより最終損益(当社株主に帰属する当期純利益)は△500億円(損失)を見込む。

連結業績見通し(米国会計原則に基づく。△は損失)
2013年度(実績) 2014年度(見通し)
売上高及び営業収入 77,673億円 78,000億円
営業利益 265億円 △400億円
税引前利益 257億円 △500億円
当社株主に帰属する四半期純利益(損失) △1,284億円 △2,300億円