A8Xプロセッサのグラフィック性能には期待大

新iPadの新機能のうち、指紋認証機能「Touch ID」の便利さについては、iPhone 5s以降のユーザーはすでに実感していることだろう。パスワードロックの解除はもちろん、アプリや電子書籍、楽曲/映画の購入時にもパスワードを入力しなくてすむ。これに関連して、Apple Payの対応機種にも指定されたが、iPhone 5sが対応しなかったところを見ると、Apple Payには新型のTouch IDかA8プロセッサが必要なのだろう。

CPUはiPhone 6のA8からGPUを強化した「X」版となった。Retinaディスプレイを採用した第3世代iPadから、内蔵GPUコア数を強化した「X」版CPUが採用されてきたが、A7プロセッサを搭載したiPad AirおよびiPad mini 2では「A7X」ではなく、通常のA7が搭載された。それがA8では再び「A8X」になったので、A7のGPU性能は満足いくものではなかったということだろうか。

CPUには「A8X」を搭載。A8に比べて10億個増えたトランジスタ数は、ほぼ全てが増加したGPUコアの分だろう

アップルが主張するA8Xの性能はA7比で最大250%ということで、数値だけで考えれば現在モバイル系CPUで最強の「NVIDIA TEGRA K1」に比肩しそうだ。ちょうどTEGRA K1を搭載し、iPad Air 2と同じ解像度のディスプレイを搭載した「Google NEXUS 9」が発表されたばかりなので、実機で両者のGPU性能を比較してみるのが楽しみだ。

iPad Air 2の改良点である背面カメラについては、画素数こそ同じだが、iPhone 6系とは異なるユニットが採用された。スペック的にはiPhone 5に近いようだ。最近は観光地や展示会でiPadで撮影している人を多く見かけるようになったが、画素数の向上は、こうしたユーザーにはうれしい改良だろう。ただ、スペース的に余裕がありそうなので、光学手ぶれ補正機能を搭載してほしかったところだ。

フロントカメラにも新しいユニットを採用。なぜかこちらはiPhone 6と同じスペックのユニットのようだ

なお、米国および英国ではiPad Air 2(Wi-Fi + Cellularモデル)向けに、アップル自身がSIMカードを提供し、ユーザーがソフトウェア的にキャリアや料金プランを切り替えられる「Apple SIM」という機能が提供される。日本での提供予定は今の所ないようだが、SIMフリーのiPadと組み合わせれば非常に面白そうな機能だけに、日本での導入を期待したい。

「Apple SIM」では米英でAT&T、Sprint、T-Mobile、EEから選択可能。米国最大キャリアのVerisonは対応してこなかったようだ