KDDI(au)は、2014年冬モデルとして、Androidスマートフォンの主力機種「GALAXY Note Edge」「Xperia Z3」を発売することを発表している。9月19日に発売された「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」、冬モデルAndroidスマートフォンに加え、"第3のOS"とされる「Firefox OS」を搭載したスマートフォンの年内発売も予定しているなど、ラインナップを充実させている。

"選べる自由"というキャッチフレーズを掲げる同社では、端末のラインナップだけでなく、料金プランでもユーザーに多くの選択肢を提供している。8月13日からは、音声通話を定額とする新料金プラン「カケホとデジラ」を提供開始したが、従来の「LTEプラン」も引き続き利用することが可能だ。新料金プランは、通話をよく利用する人にとってはお得だが、あまり通話しない人にとっては割高になる可能性がある。

iPhone 6とiPhone 6 Plus

本稿では、KDDI(au)が提供するiPhone 6の2年間の運用コストに着目し、新料金プランと従来プランで、どのくらい金額に違いが出てくるのかを確認してみた。また、同様にiPhone 6を提供するNTTドコモとソフトバンクとの料金プランの違いについても紹介していきたい。

KDDIのiPhone 6は新・旧どちらのプランでも契約可能

KDDIのiPhone 6の運用コストを見てみると、まず新料金プランの「カケホとデジラ」で契約した場合、基本使用料は月額2,700円(以下、金額はすべて税抜)で、これにより国内の音声通話が話し放題になる。また、データ定額サービスは、データ容量のプランを月間2GB/3GB/5GB/8GB/10GB/13GBから選択でき、たとえば月間5GBのプランでは月額5,000円。これにインターネット接続サービスの「LTE NET」月額300円を加え、合計8,000円が標準的な月額料金となる。

KDDIの新旧料金プランでのiPhone 6利用料金(金額は税抜)

一方、従来のLTEプランでiPhone 6を契約した場合、基本使用料は月額934円と安くなっているが、通話料は20円/30秒の従量課金制となる。データ定額サービスは、月間7GBの「LTEフラット」のみとなり、通常は月額5,700円のところ、「LTEフラットスタート割(i)」によって、最大2年間は5,200円で利用可能。これに、インターネット接続サービスの月額300円を加え、合計6,434円が従来プランでの月額料金だ。

新料金プランと従来プランで合計月額料金を比較すると、従来プランの通話料が従量課金制という違いはあるものの、従来プランのほうが新料金プランよりも毎月約1,500円安い。また、2年間の総額で見てみると、差額は37,000円以上になる。そのため、あまり通話を利用しない人であれば、従来のLTEプランに契約したほうがお得だ。

また、通話を頻繁に利用する人であれば、通話定額の新料金プランは最適であり、さらにデータ定額サービスのプランを、自身の使い方に合わせて細かく選びたいという人にとっても、新料金プランは魅力的だと言える。

なお、KDDIでiPhone 6を購入する際には、機種代金が別途かかるが、「毎月割」の適用により、たとえばiPhone 6の16GBモデルであれば、実質負担額はMNP/新規契約が0円、機種変更が14,520円となっている。また、iPhoneの旧機種などの下取りプログラムも実施され、KDDIの端末だけでなく、他社端末も下取りに出すことが可能だ。

さらに、固定回線とのセット割である「auスマートバリュー」も利用できるほか、他社からMNPで乗り換えた人を対象とした割引キャンペーン「auにかえる割 Plus」も実施されている。

ドコモは旧プランを受付終了、ソフトバンクは?

NTTドコモとソフトバンクも、KDDIと同様に音声通話を定額とする新料金プランを導入しているが、従来プランの扱いには違いがある。両社の状況を確認しておこう。

ドコモは8月末で、従来プランの「タイプXi にねん」などの新規受付を終了しており、新規契約またはMNPでドコモのiPhone 6を購入する場合には、新料金プランのみでしか契約できない。また、機種変更であれば従来プランを継続することも可能だが、従来プランは「月々サポート」の対象外となり、機種代金の割引を受けることができない。

いわば、新料金プランが半強制と言える状況になっており、あまり通話を利用しない人であれば、ドコモでiPhone 6を契約するのを躊躇してしまうかもしれない。

また、ソフトバンクの従来プランである「ホワイトプラン」も当初、8月末に新規受付を終了する予定だったが、その後、受付終了が11月末に延期されている。そのため、現時点ではKDDIと同様に、新料金プランと従来プランのどちらでもiPhone 6を契約することが可能だ。12月以降に、ドコモと同様に新料金プランが半強制になるかどうかは不明だが、通話定額が不要と感じている人にとっては、注視しておきたいところだろう。

各社のiPhone 5 16GB(ドコモのみiPhone 5s 16GB)から、それぞれのiPhone 6 16GBへ機種変更した場合の2年間のトータルコスト(端末代、旧機種の下取りを含む)。従来プランを選択できるKDDI、ソフトバンクが、新料金プランのドコモよりも安くなっている。また、機種変更の場合はKDDIが最安だ

なお、最近はMVNOサービスの音声通話SIMが注目を集めており、SIMフリーのiPhone 6をMVNOサービスで運用しようと考えている人もいるかもしれない。しかし、SIMフリーのiPhoneは、キャリアの「月々サポート」「毎月割」といった機種代金の割引は受けられないため、毎月の通信料金は安くなっても、端末代金を含むトータルコストで見ると、そこまで安くはならない。

たとえば、iPhone 6 16GBは、各キャリアで新規契約すれば実質負担額が無料だが、SIMフリー版は67,800円を自身で負担することになる。また、月間4GBで月額2,200円の音声通話SIMを利用したとすると、2年間のトータルコストは120,600円となり、KDDIの従来プランを利用したときと同程度か、場合によっては高くなる。これらのMVNOサービスを検討するときは、目先の通信料金だけでなくトータルコストに着目して比較するとよいだろう。

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本稿でも紹介した通り、キャリアの新料金プランと従来プランでiPhone 6の運用コストを確認すると、新料金プランのほうが割高であり、2年間の差額はかなりの大きさになる。スマートフォンの使い方は人それぞれであり、通話がメインという人もいれば、データ通信をよく使うという人もいるだろう。その点、KDDIでiPhone 6を契約する際には、新料金プランと従来プランのどちらも選択することができ、自分の使い方に合ったプランでリーズナブルにiPhone 6を運用できるだろう。