ダイソンは9月4日、同社初となるロボット掃除機「ダイソン 360 Eye ロボット掃除機」の記者発表会を行った。発売は2015年春の予定で、世界に先駆け日本で先行販売される。

【左】製品発表会でプレゼンテーションを行う、ダイソン創業者のジェームス・ダイソン氏 【右】世界初お披露目となった「ダイソン 360 Eye ロボット掃除機」

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ダイソン 360 Eyeは、同社が16年の歳月をかけて開発し、満を持して市場に投入するロボット掃除機。大きな特徴はまず、「サイクロン式」であるということ。「吸引力が下がらない掃除機」を謳い、吸引力の高さを売りにした製品でサイクロン掃除機市場を切り開いた同社らしく、従来のロボット掃除機とは全く異なる観点の商品だ。

通常タイプの掃除機と同様にエネルギー効率の高い「ダイソン デジタルモーター」を搭載し、「Radial Root Cyclone(ラジアルルートサイクロン)」テクノロジーと呼ばれる技術で、ロボット掃除機ながらゴミと空気を強力に分離し、0.5μmもの微細なゴミをも捉えるとしている。ダイソンのエンジニアによると、吸込仕事率は20W(AW)。他社のロボット掃除機は吸込仕事率を公開していないことが多いが「他のロボット掃除機に比べると20~30倍」と自信を見せた。吸込仕事率については、国内外でも測定条件等が多少異なるため、一概に比較はできないものの、発表会では他社製品と比較した吸引力のデモンストレーションも行われ、その実力を示した。ちなみに、同社のコードレスクリーナー「DC62」の吸引仕事率は通常モードで28AW、強モードで100AWとなっている。

ダイソンが満を持して市場に投入したロボット掃除機は、「サイクロン式」であることが第一の特徴。透明なサイクロン機構のパーツ部分など、これまでのダイソン掃除機ならではの意匠デザインも引き継いでいる

また、2つ目に大きなポイントとなるのが、全方位パノラマカメラの内蔵。これは前方の赤外線センサーと連動して作動するもので、一度に360度を捉えることができる。「360°ビジョンシステム」と呼ばれる独自開発の技術を利用して位置を詳細に把握し、マッピング情報を更新していくため、掃除していない場所を残すことなく、隅々まで清掃できる。

【上段左】後方のデザイン。後ろ側は排気用にフィルターが装備されている。本体上方にある丸いレンズ状のものが全方位カメラだ 【上段右】本体のカットモデル。小さな本体に収められた非常に緻密な構造で、PCの内部のようでもある。重さは2.4kgで、実際に持っていた感じでは見た目の印象よりも軽量だった 【下段】縦横23×24.2cm、高さ12cmというコンパクトさで、テーブルの下にもスイスイ入り込んでいた

そして3つ目の特徴が、「サイドブラシ」がないということ。隅にあるゴミを掻き出すという役割のあり、従来のロボット掃除機では欠かせないパーツだが、ダイソンによるとこれは微細なゴミを撒き散らす原因にもなっていると判断し、カーボンファイバーとナイロンを組み合わせた、本体の直径とほぼ同じ長さのブラシを用い、隅のゴミも十分掻き出せると主張している。

本体裏面。スケルトンな仕様とカラフルなパーツカラーの採用が、裏面ながらもダイソンらしさを感じさせる

さらに、移動の際の機構・部品として車輪ではなく、キャタピラーのようなベルト駆動式転輪を採用している点もユニークだ。これにより、1.5cmまでの段差を乗り越えることができ、凹凸のある素材の床面でもスムーズに移動ができるとしている。

このほか、iOS、アンドロイド端末向けに「Dyson Linkアプリ」を提供。ネットワーク経由で遠隔操作したり、スケジュール予約、掃除の進行状況や記録を確認したりすることが可能だ。また、ロボット掃除機のソフトウェアの自動アップデートや、トラブルシューティングや製品ガイドへのアクセスもスマホ経由で確認できる実用的なアプリとなっている。

【左】タブレットに表示させた「Dyson Linkアプリ」 【右】掃除の状況や記録を確認

製品ガイドをスマホアプリで提供。名称の解説や取り扱い方法、メンテナンスやエラー時の対処方法などがスマホで確認できる

バッテリーにはリチウムイオン電池を採用。1回の充電で約20~30分の駆動ができるとのことだ。他社のロボット掃除機に比べて短めだが、「高い吸引力と高度なマッピング技術で無駄なく掃除ができるので十分な長さ」との説明。また、バッテリーが切れると自動で充電台に戻る。約2時間でフル充電が可能で、最後に終了した位置に戻って掃除を再開できるので、問題ないとの見解を語った。

壁際に設置されているのが充電ドック。フラットで邪魔にならない、洗練された仕様とデザインだ

現在のところ、価格は未定。9月30日まで、同社日本法人のホームページで日本の消費者を対象にモニターを募集している。