発表会の冒頭、キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長の川崎正己氏が登壇し、新製品の狙いについて語った。川崎氏によれば、国内市場におけるプリンタの出荷台数は、2014年も前年(2013年)並みになる見込み。「安定したプリントニーズに支えられ、今年も500万台から550万台の水準で推移している。消費増税やWindows XP終了の影響は小さかった」と分析した。

キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長の川崎正己氏(写真左)。変動要素があったものの、年間のプリンタ出荷台数は前年並みになる見込み(写真右)

近年では、プリンタのホストデバイスであるPCの出荷台数が落ち込む一方で、それを補うようにスマートフォンとタブレットが伸びている。キヤノンの調査では「スマホからプリントしたことがある」と答えた利用者は、2011年の9.5%から2013年には32.3%まで急伸。同様に「タブレットからプリントしたことがある」と答えた利用者も、2011年の5.9%から2013年の31.7%へと急速に伸びているという。

プリンタを使うデバイスであるPCが落ち込む一方で、スマートフォンとタブレットが伸びている

スマホによる写真プリント率は75%。タブレットではWebページの印刷が多く、クラウドサービスからの印刷も増えてきている。川崎氏は「スマートデバイスと家庭用プリンタは、親和性が高いことが分かった。スマホとタブレット、クラウドの普及は、インクジェットプリンタ事業にとって大きな転機でありチャンス」と語り、今後もこの分野に向けたサービスと製品の開発に注力していく考えを示した。

スマホとタブレット、クラウドの普及を、インクジェット事業にとっての大きなチャンスと捉えている

家庭用プリンタ/複合機のPIXUSシリーズには、新製品として5モデル10機種を投入する。上位の「PIXUS MG7530」はスマホ・タブレット対応をさらに強化するべく、NFCを利用した機能「PIXUSタッチ」を搭載。スマホをMG7530にかざすだけで、簡単にプリントが行える。また、タブレット・PC向けにはWebアプリ「Easy-PhotoPrint+」を用意。写真を楽しくプリントし、編集機能も利用できる。現行モデルで提供中のスマホ向けアプリ「PIXUS Print」も継続し、スマートデバイスからのプリント需要を喚起する。クラウドサービス連携機能の「PIXUSクラウドリンク」も、対応するサービスを拡充した。

家庭向け複合機の上位モデル「PIXUS MG7530」。カラーバリエーションに、新色のオレンジとブラウンを追加した

NFCを利用した「PIXUSタッチ」では、スマホをPIXUSにかざすだけで簡単にプリントできる

さらに、ホームプリント市場を活性化する新たな試みとして、女性をターゲット層にした「PIXUS MG7530F」を提供。利用者の幅広いニーズに対応していく。女性の開発陣が女性の目線で仕上げたモデルで、MG7530をベースに、カラーリングなどが異なっている。

キヤノンでは、スマホ・タブレットからの印刷に快適な環境を引き続き提供していく