多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、『自分のAndroid端末で「ART」は使えますか?』という質問に答えます。

***

Googleは、Androidの次期バージョン「Android L」から、新しい仮想マシンを正式採用する方針を明らかにしました。それが「ART」で、従来の仮想マシン(Dalvik)に比べ2倍のパフォーマンスを実現します。Android 4.4(KitKat)から実験的な機能として搭載されていましたが、次のAndroid LからはARTがデフォルトの仮想マシンになる予定です。

ARTはパフォーマンス向上だけでなく、消費電力の節減にも貢献します。Dalvikでは、アプリのコードを起動時にCPUのネイティブコードに変換(JITコンパイル)しますが、ARTはアプリの導入時に変換を完了してしまいます(AOTコンパイル)。インストールにかかる時間は若干長くなりますが、何度も起動されるアプリはコンパイルを繰り返す必要がなくなり、トータルの消費電力は減ります。

完全な64ビット対応になることもポイントです。64ビットCPUの新しい命令セットや広いメモリ領域を活用できるようになり、パフォーマンスアップに貢献します。互換性も配慮され、従来のJavaバイトコードも変更なしに動作するため、これまで配布されてきたアプリも変わらず利用できます。

ARTが動作するかどうかですが、次期バージョン「Android L」に収録される形で配布されますから、Android Lに対応する端末であれば動作すると考えられます。現在公開されているAndroid Lの開発者向けプレビュー最新版(LPV81C)では、サポートされる端末はNexus 5とNexus 7(2013)Wi-Fi版のみですが、正式リリースが予定されている2014年秋が近づけば情報も増えてくることでしょう。

現行のAndroid 4.4(KitKat)でも、ARTは実験的にサポートされています。開発者向けオプションの「ランタイムを選択」から「ARTを使用」を選択すると、システムの再起動後に有効になります

(記事提供: AndroWire編集部)