IntelのCPUブランド「Pentium」の誕生20周年を記念して7月に発売された「Pentium G3258」。このPentium G3258の魅力はといえば、一つはKシリーズ同様に倍率ロックフリー仕様となっており、オーバークロックに対応していること。そしてもう一つが、実売7,000円前後(8月上旬現在)という価格だ。「失敗してもいいや」という気持ちで、気軽にオーバークロックを試すことができる価格帯といえるだろう。

こういった仕様や価格設定から、CPUのオーバークロックという行為を普及させた往年の名器「Celeron 300A」に例えられることが多い。運よく耐性の良いCPUを購入できれば、空冷でも5.0GHz以上の動作クロックをたたき出すことも可能というのだから驚きだ。その手軽さから、この夏"ちょっとオーバークロックして遊ぶ"アイテムとして高い人気を得ている。

Pentiumブランド20周年のリボンが印刷されたパッケージ

そんな楽しげな「Pentium G3258」だが、遊び倒した後にはやはり実用アイテムとして利用したいし、最初から「オーバークロックできるちょっとお得なCPU」として購入する人もいることだろう。というわけで今回は「Pentium G3258」をオーバークロックし、動作クロックや温度を見つつ、常用できるラインを探っていきたいと思う。

検証パーツの構成を確認

検証を始める前に、今回使用する検証パーツを確認しておこう。まずは今回の主役、「Pentium G3258」。Haswell世代のCPUアーキテクチャを採用し、22nmプロセスルールで製造されたデュアルコアCPUだ。定格動作クロックは上位CPUにも負けない3.2GHzだが、Coreシリーズのようにハイパースレッティング・テクノロジーやターボブースト・テクノロジーには対応していない。

逆に最近のCPUとしては非常に動作クロックを把握しやすいともいえる。キャッシュはスペックに応じた3MB。内蔵グラフィックス・コアはIntel HD Graphicsとなり、標準では1.1GHzで動作する。内蔵メモリコントローラの対応はDDR3-1333までとなるため、最近主流となっているDDR3-1600メモリはオーバークロック動作となる。このような仕様のPentium G3258が、オーバークロックによってどのように変化するのか、楽しみだ。

「Intel Pentium G3258」。入手したものはコスタリカ産だった

マザーボードには、Intel Z97 Expressを搭載したGIGABYTEの「GA-Z97X-SOC」を用いた。オーバークロックに特化した"OCシリーズ"の下位モデルとなり、VRMにはCPUに安定した電源を供給できるInternational Reactifier製のICチップを採用している。またオーバークロック用のボタン「OC Touch」を備えているため、ボード上から直接CPU倍率の変更やUEFI BIOSの切り替えが行えるのも魅力だ。

オーバークロックに公式に対応しているチップセットはZシリーズのみだが、最近ではH97 Expressなどでもマザーボードベンダーが独自に対応しているものもあるので、CPUにあわせて低コストでシステムを構築するなら、あえてそういった製品を使用しても面白いだろう。

GIGABYTEのマザーボード「GA-Z97X-SOC」。オーバークロックに便利なギミックを多数備えている

なおGIGABYTE製のマザーボードでは、Windows上から動作クロックや電圧を調節できる便利なオーバークロックユーティリティ「EasyTune」が利用可能だ。「EasyTune」には「Smart Quick Boost」と呼ばれる自動オーバークロック機能が搭載されており、7月のバージョンアップにてPentium G3258用の設定が追加されている。もしオーバークロックは難しいそうだと感じているのであれば、こういった機能を利用するのもよさそうだ。

GIGABYTEのオーバークロックユーティリティ「EasyTune」。バージョンアップでPentium G3258用の設定が用意された

オートチューニングを利用することで、CPU/GPUそれぞれのオーバークロックの限界を簡単に探ることができる

Pentium G3258のコストパフォーマンスに優れた点を生かすため、CPUクーラーにはまずリファレンスクーラーで試してみたい。冷却が追い付かなくなったところで、CPUクーラーをTDP250Wまで対応するCoolerMasterの「V8 GTS」に変え、さらに上の動作クロックを目指すことにする。

マザーボード、CPUクーラーともにPentium G3258よりも高価で少々不釣り合いだが、オーバークロックで"遊ぶ"ならこのような組み合わせも楽しいのではないだろうか。なお、その他の検証用パーツは以下の通り。メモリはモジュールの設定どおり、DDR3-1600にて動作させた。

■テスト環境
CPU Intel Pentium G3258
チップセット Intel Z97 Express(GA-Z97X-SOC)
メモリ DDR3-1600 8GB(Patriot Memory PSD38G1600KH×2)
ストレージ 128GB SSD(東芝 THNS128GG4BBAA)
グラフィックス Intel HD Graphics(CPU内蔵)
電源 450W 80PLUS GOLD(Seasonic SSR-450RM)
OS Windows 8.1 64bit

CPUクーラーには、パッケージに同梱されるリファレンスクーラー(写真左)に加えて、CoolerMasterの「V8 GTS」(写真右)を用意した