2014年7月17日、日本マイクロソフトの12型Windows 8.1タブレット「Surface Pro 3」が日本国内で発売される。それに先駆けて日本マイクロソフトは、記者向けの体験会を開催した。設置されたSurface Pro 3は、ラインナップの中間に位置するIntel Core i5搭載モデル。今回はその使用感について報告する。

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デモアカウントだが自由に使用できたSurface Pro 3のIntel Core i5モデル

日本マイクロソフトの三野達也氏

タッチ&トライにあたり、日本マイクロソフト コンシューマー&パートナーグループ Surface&PCハードウェア戦略本部長の三野達也氏は、「前モデルと比べると、6月3日からの開始日から約25倍のスピードで予約が入っている。さらに法人からの引き合いも約7倍と好評」と説明した。

予約状況は、Intel Core i7搭載のハイエンドモデルが4割程度、Intel Core i5のミッドレンジモデルが6割程度。全体的に、256GB SSD搭載モデルが優位だという。一方で、法人需要は128GB SSD搭載モデルの人気が高いそうだ。これは一括導入におけるコスト面が影響しているのだろう。

Surface Pro 3の予約状況は好調の様子

さて、Surface Pro 3において注目したい点の1つは、0度から150度まで無段階で切り替えられるキックスタンドだ。三野氏も「膝に置くなど、ユーザーの使用スタイルに合わせて利用できる」と強調しているが、個人的に気になったのは発表会で公開された試作機は、上から力を入れるとキックスタンドが広がってしまった点である。

今回のSurface Pro 3で同様の部分を確認してみると、今度は結構な力を加えないと広がらないことが確認できた。以前の発表会は立った状態で圧力を加えたからかもしれないが、いずれにせよ机上であれば問題ないだろう。

キックスタンドを最大限倒した状態(写真左)。この状態までキックスタンドは軽く開くが、これ以降の角度では堅くなる(写真右)

キックスタンドの無段階調整を支えるヒンジ部分

専用オプションのキーボード&本体カバー「Surface Proタイプカバー」も、基本機能は前モデルと同じだ。ただ、キーピッチの広がりや、トラックパッドサイズが63パーセントほど拡大するなど、いくつかの改善が加わっている。筆者は初代Surface Proに2013年版のSurface Proタイプカバーを取り付けているが、確かに打鍵感は改善されている。

トラックパッドのボタン部分は新たにクリック感を加え、UX(User Experience:ユーザーエクスペリエンス)を改善した。正直なところ説明されるまで気付かなかったが、トラックパッド操作に慣れたユーザーには嬉しい改良点となる。日本マイクロソフト Windows本部Surfaceマーケティング シニアプロダクトマネージャーの瀬戸和信氏によれば、「法人ユーザーから好評を得ている」そうだ。

Surface Pro 3向けにリリースする「Surface Proタイプカバー」。全5色となる(赤色のみMicrosoftストア限定)

トラックパッドのボタン部分(トラックパッド下部)は新たにクリック感が加わった

Surface Pro 3に付属する「Surfaceペン」は、Bluetooth 4.0 LEでSurfaceと接続し、ペン上部のトップボタンを2回押すと、Windowsストアアプリ版OneNoteが起動する仕組みだ。初回起動時はペンの種類選択や、各ボタンの操作方法が解説されるため、初めてSurface Pro 3を使うユーザーも戸惑うことはないだろう。ちなみに、Surfaceペンのトップボタンから起動できるアプリケーションは変更できない。

Surface Pro 3に付属する「Surfaceペン」。手に持った感覚はかなり軽く感じた

SurfaceペンはBluetooth経由でSurface Pro 3と接続している

Windowsストアアプリ版OneNoteの初回起動時はペンの種類選択を求められる

デスクトップ解像度が2,160×1,440ピクセルと広いためか、Surfaceペンによる手書き入力もメモ用紙感覚で書き込めるのが印象的だった。過去のデモンストレーションではPhotoShopをSurfaceペンで操作するシーンもあったが、この応答性なら十分な実用レベルに達しているだろう。なお、Surface Pro 3をノートやメモ帳のように使う場合は、パームブロックテクノロジが稼働し、手をついて書いてもペン入力だけを認識する機能も組み込まれている。

Surfaceペンを分解してみると単6電池が現れた。一見すると単6電池だけで稼働しているようだが、トップボタン部分は319ボタン電池(SR527同等品)が必要だという。気になる電池の持ち具合を訪ねてみたが、やはり使用頻度によって左右するため、Microsoft本社も明示できないそうだ。

OneNoteとSurfaceペンによる手書き時は、パームブロックテクノロジが稼働し、手がついても問題がない

Surfaceペンは単6形電池および319ボタン電池で稼働する

今回の体験会ではSurface Pro 3の具体的な構成についても明らかになった。下図のとおり、最上位モデルはIntel Core i7-4650U。ミッドレンジモデルはIntel Core i5-4300Uを搭載。ローエンドモデルのIntel Core i3は未定だという。ただし、これらの構成は部品調達などの関係で変化する可能性があり、変更後のアナウンスは予定していないと説明していた。

Surface Pro 3の構成内容

残念ながらSurface Pro 2発売時のように、OneDriveの容量サービスなどは用意されないが、Surface Pro 3発売を記念したキャンペーン&プロモーションが行われる。Twitterのハッシュタグを付けてつぶやくと、オリジナルデスクトップテーマやSurface Pro 3特製バックが当たるキャンペーンは、7月17日からの開始だ。

そして、同じくTwitterでSurfaceの使い方を提案した人の中から抽選で1名に、「最高の1時間」をプレゼントするプロモーションを行う。前者はSurface Pro 3購入者およびSurface製品登録ユーザーが対象ながらも、後者は誰でも応募できるので、興味のある方はチャレンジしてほしい。

Surface Pro 3発売記念キャンペーン。Twitterのハッシュタグ付きつぶやきで購入者のみ参加できる

同じくTwitterを用いたプロモーションを実施。こちらは未購入者も参加可能だ

プレゼント品を手にする三野氏

Surface Pro 3を触って気付いた点をいくつか挙げよう。プリインストールアプリケーションとして、Office 2013スイート、「Microsoft Solitaire Collection」などのゲームに加え、Surface向けとなる「Note Anytime」と「Skype WiFi」が含まれていた。

なお、Surface Pro 3をデスクトップPCライクに使用する場合、ドッキングステーションを用意するとUSBポート数など環境面が大幅に改善されるが、「Surface Pro 3 Docking Station」は2014年秋ごろの発表を予定しているという。米国のMicrosoftストアでは199ドルで予約受付中だが、国内での希望小売価格は未定だ。

Surface Pro 3のスタート画面。いくつかのWindowsストアアプリがプリインストールされていた

個人的にSurface Pro 3は興味深いWindowsタブレットだが、Intel Core i5/8GBメモリ/256GB SSDモデルで150,984円、ハイエンドモデルのIntel Core i7/8GBメモリ/512GB SSDモデルで219,024円と少々高額である(いずれも税込み。Microsoftオンライン ストア調べ)。スペックやデバイス構成を踏まえると十分安価と言ってよいものの、考えずに購入できる価格帯ではない。筆者もいまだに購入するか否か悩んでいるが、今回はミッドレンジモデルのデバイスマネージャー画面を下図に用意した。Surface Pro 3の購入で悩んでいる方は参考にしてほしい。

阿久津良和(Cactus)